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Unicodeに含まれる謎の記号「⍼」の起源を追ったレポートが公開中


大規模文字セットのUnicodeは世界中のあらゆる文字を収録することを目指して策定されており、「溶解する顔」や「妊娠中の人」といった個性的な絵文字も数多く登録されています。そんなUnicodeに登録されている正体不明の記号「⍼」について、ブリティッシュコロンビア大学でソフトウェアについて学んでいるジョナサン・チャン氏がまとめています。

U+237C ⍼ RIGHT ANGLE WITH DOWNWARDS ZIGZAG ARROW · Jonathan Chan
https://ionathan.ch/2022/04/09/angzarr.html

「⍼」は数学記号用のフォントなどに含まれている記号です。例えば、数式・化学式用フォント「Cambria Math」に含まれる「⍼」を拡大してみるとこんな感じ。カギカッコのような直角と稲妻形の矢印が組み合わさった日常生活では全く目にすることのない形状です。この記号については「平面座標においてX軸より下にY軸が続くことを示す記号である」という説が存在しますが、その本当の用途は明らかになっていません。


チャン氏によると、「⍼」が文字セットの中に登場したのは、STIXフォント事業が2000年3月に(PDFファイル)提案した文字セットが最初とのこと。この提案では、「⍼」に「直角と下向きジグザグ矢印(RIGHT ANGLE WITH DOWNWARDS ZIGZAG ARROW)」という説明が付けられています。


さらにチャン氏が「⍼」の出どころを調査した結果、記事作成時点では解散している非営利団体「Association for Font Information Interchange(AFII)」が1993年に公開したデータの中に「⍼」が含まれていたことが判明しました。しかし、AFIIでは現在の価値で8.6ドル~86ドル(約1080円~1万800円)を支払えば誰でも文字や記号を登録できたため、「⍼」が表す意味までは明らかにできませんでした。


上記の調査結果を公開してから数日後に、チャン氏はSTIXフォント事業に関わっていたバーバラ・ビートン氏から「『⍼』が何を表す記号なのか分からないので、『分かりやすい名前』(直角と下向きジグザグ矢印)を付けました」という連絡を受けたとのこと。チャン氏は「STIXフォント事業とAFIIが綿密に連携していた時代に情報源を見つけることができなかったのであれば、30年後の今、何か新しいことを発見できるとは思えません」と述べ、調査報告を締めくくっています。

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in デザイン, Posted by log1o_hf

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