3200年前のエジプトの石板にはピラミッド建設の労働者の「仕事をサボる言い訳」が書き連ねられている
大勢の集団で仕事をする時、同じ仕事をするメンバーの中に仕事をサボる者が現れることがよくあります。紀元前1250年にエジプトでピラミッドを建設する時も仕事をサボる労働者がいたことを、当時のピラミッド建設チームの石板が記しています。
ostracon | British Museum
https://www.britishmuseum.org/collection/object/Y_EA5634
3,200-Year-Old Egyptian Tablet Records Excuses for Why People Missed Work: "The Scorpion Bit Him," "Brewing Beer" & More | Open Culture
https://www.openculture.com/2022/02/3200-year-old-egyptian-tablet-shows-why-people-missed-work-the-scorpion-bit-him-brewing-beer-more.html
石板は高さ38.5cm×幅33cmで、エジプト第19王朝のラムセス2世統治40年目のものであり、ピラミッド建設労働者の村であるデール・エル・メディナの遺跡から1823年に発掘されました。
by The Trustees of the British Museum
石板にはラムセス2世の墓の建設に携わった労働者40人の名簿がエジプト象形文字で書かれています。名前の横に黒字で出勤日が、そして日付の上には「ビールを醸造していたから」「妻が出血したから」など、その日に欠勤した理由が赤色で記されていました。
ビールは古代エジプトで日常的に飲まれていたお酒で、ハトホルなどの神々と関連する飲み物とされていました。そのため、ビールの醸造は古代エジプト人にとって重要な意味を持つ儀式だったそうです。なお、2021年4月には世界最古のビール工場が古代エジプトの聖地・アビドスで発掘されています。
「世界最古のビール工場」がエジプトで発掘される - GIGAZINE
「妻の出血」は月経のことだといわれています。仕事とプライベートを両立するため、妻が家庭で働けない場合は夫がサポートする必要があったため、仕事を休むことが許されたと考えられています。
大英博物館のキュレーターによると、欠勤理由で最も多かったのは「目の病気になったから」「サソリに噛まれたから」で、次に多いのが「上司の私用に付き合わされたから」というものだそうです。
石板には他にも「大事な宴会に参加して二日酔いになったから」「弟の葬儀があったから」などの理由が記されているとのことで、節度があればこういった理由で欠勤することも禁じられていなかったようです。
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