生き物

古代エジプト人がネコを溺愛した理由とは?


紀元前525年に起きた「ペルシウムの戦い」では、「盾にネコをくくり付けたペルシア軍に対して、ネコを愛する古代エジプト人は一切攻撃できなかった」という逸話が残っており、古代エジプト人がネコを溺愛していたことが語り継がれています。なぜ古代エジプト人がネコを溺愛したのかという謎について、科学系メディアのLive Scienceが解説しています。

Why were the ancient Egyptians obsessed with cats? | Live Science
https://www.livescience.com/ancient-egypt-cats.html

古代エジプトの霊廟(れいびょう)から何十匹ものネコのミイラが発見されたり、エジプトの東端に位置するベレニケで500匹以上のネコが丁寧に埋葬された約2000年前の「ペットのお墓」が見つかったりと、近年では古代エジプトでネコが溺愛されていたことを示すさまざまな証拠が見つかっています。

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2018年にフリーア美術館で開催された古代エジプト展では、「ネコは『保護的で忠実で養育的である』『強慾で独立的で凶暴である』という2つの側面を持っています。また、古代エジプトの神々もネコと同様の二面性を持っています。このように、ネコは神々と似た特性を持っていたため、人々から畏敬の念を抱かれていました」と説明されています。

古代エジプトの神々の中でも有名なスフィンクスは、「人間の顔」と「ライオンの体」を持ち、破壊神や王の守護神として知られる女神セクメトは、「ライオンの顔」と「人間の体」を持っています。さらに、女神パステトは「ネコの顔」と「人間の体」を持つと伝えられています。このように、ネコやライオンの姿を取り入れた神々が古代エジプトで信仰されていたことから、Live Scienceは「古代エジプト人はネコを神聖な生き物だと信じていました」と指摘しています。


ネコは、神々に近い神聖な生き物として畏敬の念を抱かれただけでなく、ネズミやヘビを狩る能力の高さからも愛されてきました。ユニヴァーシティ・カレッジ・ロンドンは、古代エジプト人が子どもたちにネコにちなんだ名前やニックネームを付けることもあったと報告しています、

以上のように古代エジプト人に溺愛されていたネコですが、中には儀式のために殺されたネコも数多く存在したことが判明しています。例えば、2020年に公開された研究では、紀元前700年から紀元300年にかけて「首の骨を折って殺した生後5カ月未満のネコを、死者と共に埋葬する」という風習があったことが明らかになっています。さらに、「儀式に利用するためのネコを大量に育成する施設」も存在していたことが判明しています。

Live Scienceは、「ネコと一緒に埋葬することが望ましいと考えられていた理由は定かではありません。崇拝と執着の間には微妙な境界線があるようです」と締めくくっています。

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in 生き物, Posted by log1o_hf

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