生き物

ネコの狩猟本能を抑制するには何をすればいいのか?


古くから人間に愛されてきたネコは、トラやライオンと同じく肉食動物であり、野生動物に対して狩りを行うこともあります。近年は外飼いのネコが野生動物の絶滅を加速させていることが問題視されていますが、ネコの狩猟本能を抑えるには、遊ぶ時間を増やしたり、エサの種類を変えたりすることが有効であることが新たな研究で示されました。

Provision of High Meat Content Food and Object Play Reduce Predation of Wild Animals by Domestic Cats Felis catus: Current Biology
https://www.cell.com/current-biology/fulltext/S0960-9822(20)31896-0

Scientists have found a way to stop your cat from killing so much wildlife
https://www.zmescience.com/science/scientists-have-found-a-way-to-stop-your-cat-from-killing-so-much-wildlife/

研究チームによると、世界には6億匹以上のネコが生息しており、ネコは地球上に存在する肉食動物の中で最も個体数の多い生き物の1つとのこと。そんなネコによって、北米では年間300億匹の野生動物が殺されており、希少な動物がネコによる狩りによって急速に個体数を減らしているという報告もあります。また、ネコによる狩りには疫病を広めるリスクもあることから、狩りを抑制する方法が求められています。

外飼いのネコが殺している野生動物は北米だけで年間300億匹、「ネコは屋内で飼って」と専門家 - GIGAZINE


ネコによる狩りを抑制する最も単純な方法は、ネコを屋外に出さず、屋内だけで飼うことです。しかし、多くの飼い主はネコの行動を制限することを好まないとのこと。研究チームの一員であるロビー・マクドナルド氏は、「ネコの行動を制限することは飼い主によって受け入れられず、またネコの『狩りをしたい』という欲求に対処していません。私たちは、多くの飼い主が実践しやすい方法でネコの欲求そのものを抑制することを目指しました」と語り、ネコが狩りをする頻度を下げられる効果的な方法を探りました。


研究チームはイングランド南西部の219世帯から協力を得て、355匹のネコを対象に実験を行いました。実験の対象となったネコは、「A.鈴のついた首輪をつける」「B.動物性タンパク質を多く含むエサを与える」「C.通常のエサをパズルフィーダーを用いて与える」「D.鳥がネコを認識しやすくなるカラフルな首輪『Birdsbesafe』を装着する」「E.ネズミや魚のオモチャで飼い主と1日5~10分遊ぶ」「F.対照群(特別なことはせず、普段通り生活する)」の6グループに分けられ、狩りをする頻度を12週間にわたって記録されました。


実験の結果、動物性タンパク質を多く含むエサを与えたグループでは、狩りをする頻度が36%減少しました。また、飼い主と1日5~10分遊んだグループでも狩りをする頻度が25%減少。「Birdsbesafe」を装着したグループでは、哺乳類を狩る頻度は大きく変化しなかったものの、鳥類を狩る頻度が42%減少しました。


マクドナルド氏は、動物性タンパク質を多く含むエサを与えたグループにおいて、狩りをする頻度が大きく減少したことに関して、「一部のキャットフードには大豆由来のタンパク質が含まれています。このようなキャットフードは栄養バランスには優れていますが、ネコにとって重要な栄養素が不足しており、ネコを狩りに駆り立てているようです」と述べており、「ネコにとって重要な栄養素」の詳細を明かすべく研究を続けるとのことです。

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in サイエンス,   生き物, Posted by log1o_hf

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