生き物

ネコが大量の野生動物を殺してしまい希少な動物たちが絶滅の危機に瀕している

by Flensshot

ネコは古くから人間に愛されてきた動物ですが、かつてはネズミなどの害獣を駆除する目的でも重宝されました。飼いネコであっても時には野生の本能を取り戻し、ネズミを取ってくることもありますが、「オーストラリアに住むネコが希少な動物たちを狩ってしまい、動物の絶滅を加速させている」と研究者らが警鐘を鳴らしています。

Cats kill more than 1.5 billion native Australian animals per year
https://phys.org/news/2019-07-cats-billion-native-australian-animals.html

2019年6月に出版された「Cats in Australia: Companion and Killer(オーストラリアのネコ:友人そして殺人者)」では、ネコの起源から世界中への拡大や生態、オーストラリアの野生動物に与える影響などがまとめられています。著者であるオーストラリア国立大学のサラ・レッグ教授、チャールズ・ダーウィン大学のジョン・ウォナースキー教授、シドニー大学のクリス・ディックマン教授は、オーストラリアに生息するネコが自然環境にどれほどの影響を与えているのかを調査したとのこと。

レッグ氏は人々がネコに対してさまざまな意見を持っていることを認めていますが、ネコが存在しない環境で進化したオーストラリアの生態系にとって、ネコが破滅的な問題であるのは確かだと指摘。「オーストラリアの哺乳類絶滅頻度は世界で最も高く、過去200年の哺乳類絶滅における3分の2はネコが大きな原因となりました」と述べています。

オーストラリアの農村部や自然の中に生息する野良ネコは、平均して1年で740匹もの野生動物を殺しているそうで、オーストラリア全土に生息する280万匹もの野良ネコが殺す野生動物の数は膨大なものとなります。また、人間に飼われているネコも実は年間で75匹もの動物を殺しているそうですが、飼い主が狩りの瞬間を見ることはほぼないそうです。

by suju

ウォナースキー氏は「オーストラリアのネコ:友人そして殺人者」の中で、オーストラリアの自然保護管理における、最も複雑で物議を醸すジレンマの一つを調査しています。それは「人間が愛するネコが自然にとっての脅威となった場合、どうすればいいのか?」というもの。

「ネコは4000年前に人間を手懐けて以来、人間たちに食料の調達や安全で快適な住居を提供させ、世界中へ拡大して支配するためにも人間を使いました」とウォナースキー氏は指摘。オーストラリアの自然にとってネコが危険な存在であり、自然を保護するためにはネコを効果的に管理する必要があることを、オーストラリアの人々に警告したいと述べました。

オーストラリアにはおよそ400万匹もの飼いネコが存在しており、飼い主が責任を持ってネコを管理することで、野生動物の保護に貢献できるとのこと。「ネコがウサギやネズミといった外来種の数を減らすために役立っていると考える人もいるかもしれませんが、これらの外来種はネコのエサに過ぎず、ネコの数が増加して自然への影響力を増す結果となっています。そして実際のところ、ネコは外来種の駆除にそれほど効果的ではありません」と、ウォナースキー氏は指摘しています。

by Andreas Wohlfahrt

ディックマン氏によると、オーストラリアでは1日あたり310万匹の哺乳類と180万匹のは虫類、130万羽の鳥類がネコによって狩られているそうです。「オーストラリアの在来種の多くはネコという強力な捕食者に耐えることができず、ネコの問題が解決されない限り絶滅のリスクは高まっていくでしょう」と、ディックマン氏は述べました。

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in 生き物, Posted by log1h_ik

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