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サマータイムで享受できる5つのメリットは?


2022年3月にアメリカで「サマータイム(夏時間)を恒久化させる」という法案が連邦議会の上院を満場一致で通過しました。そもそもサマータイムによって享受できるメリットにはどのようなものがあるのか、健康と安全関連の規制法を専門とするアメリカ・ワシントン大学のスティーブ・カランドリーロ教授が解説しています。

5 ways Americans' lives will change if Congress makes daylight saving time permanent
https://theconversation.com/5-ways-americans-lives-will-change-if-congress-makes-daylight-saving-time-permanent-179739

2022年3月16日、アメリカでサマータイムを恒久化させる「Sunshine Protection Act(日照保護法)」が連邦議会上院で満票を得ました。これまでアメリカでは時計の針を3月の第2日曜日午前2時に1時間進めてサマータイムにし、11月第1日曜日午後2時に1時間戻して標準時にするという慣行を続けてきましたが、日照保護法により2023年度の「サマータイムにした後に、標準時に戻さない」という過程を経て、サマータイムが恒久化される予定です。

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この法案は2022年4月時点では下院の公聴会などで検討を重ねている状況とのこと。そんな渦中のサマータイム恒久化について、カランドリーロ教授は「5つのメリットがある」と解説しています。

◆1:交通事故が減る
サマータイムで時計が1時間進んだ場合、人の活動時間は1時間前にずれ込むことになります。この活動時間が朝型になるという点について、カランドリーロ教授は「交通事故を減らす効果がある」と解説します。

カランドリーロ教授によると、日没後は単純に人通りが多くなるという点や夜になると酔っ払いが増えるという点や暗闇によって視界が悪くなるという点によって、死亡率が高くなるとのこと。以下が2016年のアメリカで集計された「各時間ごとの死亡事故数」で、各棒グラフは左から順に0時から24時までを3時間ごとに区切って集計した結果となっています。このグラフを見ると、サマータイムによって活動者数の増加が予想される朝型の時間帯は死亡者数が少なく、活動者数の減少が予想される日没後は死亡者数が多いことがわかります。



◆2:犯罪が減る
暗闇を好む犯罪者は非常に多く、2013年にイギリスで行われた調査では街灯を設置して通りを明るくすると犯罪率が最大20%も低くなるという結果が得られています。2016年のアメリカの犯罪白書によると、18歳未満の若者(青色のグラフ)は15時頃に犯罪率がピークに達し、18歳以上の大人は21時に犯罪率がピークに達することがわかっています。


◆3:エネルギーの節約につながる
そもそもアメリカやドイツがサマータイムを導入したのは資源節約が目的でした。この点についてカランドリーロ教授は「夏場の冷房に使う電力は増えるが、照明に使う電力や暖房に使う石油・ガスが削減できる」と解説し、実際に1973年の第1次オイルショック時にアメリカはサマータイムのおかげで15万バレルの石油を節約できたと語ります。

今回の日照保護法に関する議論の中で、仮に2012年にサマータイム恒久化を行ってから10年間サマータイムを続けてきたならば40億ドル(約5100億円)相当のエネルギーと1080万トンの二酸化炭素排出量が削減できただろうという調査結果が報じられています。

◆4:睡眠が改善される
サマータイムは「夏に時計を1時間早めて冬に戻す」というものですが、時計を進めたり戻したりする行為が睡眠に悪影響を与えるという研究結果が存在します。

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実際にアメリカでは時計を1時間進めたタイミングの翌週には心臓発作の発症数が24%も増えることがわかっているだけでなく、カランドリーロ教授によるとNASDAQやS&P500などのアメリカの株価指数は時刻切り替えの翌週にマイナスリターンとなる傾向が確認されており、この株価の下落はサマータイムによって睡眠が悪化することが原因だと考えられています。

◆5:娯楽が活性化する
レクリエーションやショッピングなどの活動は主に日の出ている時間帯に行われるため、サマータイムでこうした活動が活性化すると予想されます。実際にアメリカの商工会議所やアウトドア系レクリエーション関連の団体はサマータイム恒久化に賛成しており、新型コロナウイルス感染症のパンデミックによって遠のいた客足を回復したいと望んでいると報じられています。

以上のようにサマータイム恒久化にはメリットがさまざま存在するわけですが、カランドリーロ教授によるとデメリットもあるとのこと。研究によると、サマータイムによって睡眠障害が増えるという研究結果や、日照時間が長いほうがガンのリスクが高いという研究結果が存在しているそうですが、ガンのリスクについてはサマータイムによって食事や運動などのスタイルが変化することが原因の一部である可能性があるとのことで、カランドリーロ教授は「リスクと利益を天秤にかけることが重要」とコメントしています。

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in メモ, Posted by darkhorse_log

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