EUがサマータイム廃止へ舵を切る、早ければ2019年の変更で混乱が懸念される
EUの欧州委員会は、EU域内で取り入れられているサマータイム制度を廃止することを提案しました。これでEU市民は年に2度、時計の針を動かす慣習から解放されることになりそうです。
EU to stop changing the clocks in 2019 | News | DW | 14.09.2018
https://www.dw.com/en/eu-to-stop-changing-the-clocks-in-2019/a-45495680
No more seasonal clock changes after October 2019. This ambitious timeline will allow European citizens to reap the benefits without delay. I’m inviting @Europarl_EN & @EUCouncil to start work right away. #clockchange #SOTEU pic.twitter.com/D8te0w6wCL
— Violeta Bulc (@Bulc_EU) 2018年9月14日
サマータイムが導入されているEUでは、EU法にのっとって28カ国で「3月の最終日曜日に時刻を1時間早め、10月の最終日曜日に時刻を1時間遅らせる」という慣行が行われてきました。しかし、近年、サマータイム廃止論が沸き上がっていました。
それは、EU市民から不要論が巻き起こっていたから。
サマータイムが導入される欧米でも「人間の生活習慣に合わない」という反対意見が根強くある - GIGAZINE
EUではサマータイム廃止の是非を考えるため、市民への聞き取り調査が行われました。
「サマータイムが本当に必要か?」EUで世論調査が開始される - GIGAZINE
460万件以上の意見が殺到したことから、サマータイム制度の是非をめぐっては市民の関心は高かったことがわかります。そして、全体の84%という圧倒的多数が「反対」の意見を出しました。
EU市民の多くは、サマータイムによる体調不良やそもそも年2度の時刻変更のわずらわしさなどの弊害に比べて得られるメリットがほとんどないということで、「サマータイムは不要」という結論を出しました。この結果を受けて、欧州委員会は正式にサマータイム制度の廃止を欧州議会に対して提案しました。
その理由には「第一次世界大戦、第二次世界大戦やオイルショック時に沸き上がった省エネ対策から始まったサマータイムは、最新の研究で省エネへの寄与が限定的で、時代遅れであることが明らかになった」ことが挙げられています。
欧州委員会がサマータイム廃止を提言した時期は、2019年10月から。28カ国に影響を与える制度にもかかわらず、1年後という速やかな廃止を提言しています。
サマータイムを廃止するとして「夏時間、冬時間のどちらに統一するのか?」という素朴な疑問に対しては……
「各国にお任せ」というスタンスです。このため、EU域内では経度を基準に定められたタイムゾーン内で時差が生まれることになりそうです。
ちなみにタイムゾーンの基準であるイギリスは2019年3月29日にEUを離脱する予定で、欧州委員会の提言にも関わらず今後もサマータイムを維持する可能性が報じられています。
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