「お酒で太る」かどうかはお酒の種類によって違い赤ワインはむしろ内臓脂肪の減少に関連するとの研究結果
「お酒を飲むと太る」ということは広く言われていますが、一口にお酒と言ってもビール、スピリッツ、ワインなど多種多様なものがあります。新たにアイオワ州立大学などが行った研究では、「内臓脂肪が増加するかどうかはお酒の種類によって違う」ことが示されたとのことで、論文の筆頭著者であるブリタニー・ラーセン氏が研究結果について解説しています。
Beer, wine, and spirits differentially influence body composition in older white adults–a United Kingdom Biobank study - Larsen - - Obesity Science & Practice - Wiley Online Library
https://doi.org/10.1002/osp4.598
Beer and spirits have more detrimental effects on the waistline and on cardiovascular disease risk than red or white wine
https://theconversation.com/beer-and-spirits-have-more-detrimental-effects-on-the-waistline-and-on-cardiovascular-disease-risk-than-red-or-white-wine-179176
ラーセン氏は、アメリカの成人の75%が太りすぎまたは肥満と分類されているとの(PDFファイル)調査結果を挙げ、体脂肪が多いことは心血管疾患やがんといった危険な疾患のリスク増加に関連していることから、研究者は肥満と関わる要因について調査する必要があると指摘しています。
そして、アルコールは以前から肥満の原因の1つとみなされてきた一方、「アルコールにはメリットもある」といった情報も多く広まっています。ラーセン氏は文献によってアルコールに関する研究結果が異なる理由について、多くの研究がビール・赤ワイン・白ワイン・シャンパン・スピリッツなどを単一の「アルコール飲料」として扱い、個々の違いを区別してこなかったことに起因する可能性があると指摘。そこでラーセン氏らは、さまざまな種類のアルコールと肥満の関係について調査することにしたとのこと。
研究チームはイギリスで収集されている縦断的データベースのUKバイオバンクから、40~79歳までの白人1869人のデータを分析しました。このデータには、人口統計学的情報・アルコール摂取の習慣・食事・ライフスタイルといった項目や、身長・体重・血液サンプルに加え、Dual-energy X-ray absorptiometry(DXA/二重エネルギーX線吸収測定法)による体組成情報も含まれていたそうです。
分析の結果、ビールやスピリッツの消費量が多いことが内臓脂肪の増加と関連することがわかった一方で、白ワインの消費は内臓脂肪の増加と関連しておらず、赤ワインに至っては消費量が多いほど内臓脂肪の減少に関連することが判明しました。また、白ワインは内臓脂肪の減少とは関連していなかったものの、適度に白ワインを飲む高齢者では骨密度が高いことがわかったとのことです。
研究チームは論文の中で、今後の研究では非白人やその他の民族グループに属する高齢者や中高年も調査する必要があり、アルコール飲料の種類や健康に対する影響の違いについてもさらなる研究が必要だと主張。ラーセン氏は、「私たちの次のステップは、軽度認知障害を持つ高齢者の認知機能に対し、アルコール消費を含む食事がどのように影響するのかを調べることです」と述べました。
・関連記事
「お酒を飲むことは総合的に見て健康に悪い」という研究報告 - GIGAZINE
「適度な飲酒などあり得ない、どんな量でも飲酒は心臓の健康を害する」と世界心臓連盟が声明を発表 - GIGAZINE
「社会問題化している肥満に取り組むためにはお酒にかかる税金を引き上げるべき」という主張 - GIGAZINE
お酒の量を減らす「2つのシンプルな方法」とは? - GIGAZINE
赤ワインが「油っこい料理やおつまみと相性抜群な理由」が科学的に解明される - GIGAZINE
宇宙空間で熟成されたワインはどのように味が変化するのか? - GIGAZINE
睡眠不足が続くと「内臓脂肪が増加してしまう」ことが実験で判明 - GIGAZINE
アボカドは内臓脂肪を減らしてくれるという研究結果、ただし女性のみ - GIGAZINE
・関連コンテンツ