セキュリティ

「ロシアのネットワーク監視システムに通信機器を提供していた」との報道にNokiaが反論


ロシアによるウクライナ侵攻が続く中、世界中の企業がロシアへの製品・サービス提供の中止を表明しています。通信機器メーカーのNokiaもロシアへの製品販売停止を表明しているのですが、新たにニューヨーク・タイムズが「ロシアのネットワーク監視システムにNokiaの機器が関与している」と報じました。

When Nokia Pulled Out of Russia, a Vast Surveillance System Remained - The New York Times
https://www.nytimes.com/2022/03/28/technology/nokia-russia-surveillance-system-sorm.html

ニューヨーク・タイムズによると、ロシア政府は国内のネットワーク接続を監視できるシステム「System for Operative Investigative Activities(SORM)」を運用しており、これまでにSORMを用いてウラジーミル・プーチン大統領の政敵として知られるアレクセイ・ナワリヌイ氏を含む反政府勢力の監視が行われていたとのこと。ニューヨーク・タイムズは、SORMは現時点でも反戦的な発信の監視に利用されている可能性が高いと述べています。

そして新たに、ニューヨーク・タイムズが入手した合計2TBのNokiaの内部情報から「NokiaがSORMをロシアの大手通信事業者『MTS』とリンクさせる機器を提供していた」ということが明らかになりました。ニューヨーク・タイムズは、Nokiaによる機器の提供によってロシア連邦保安庁(FSB)がMTSのサービスを介した電話・メール・インターネット通信を追跡可能となったと指摘しています。また、ロシアの安全保障について詳しいアンドレイ・ソルダトフ氏は「Nokiaが関与しなければSORMの構築は不可能だったでしょう」と述べ、NokiaがSORMに与えた影響の大きさを強調しています。

上記のニューヨーク・タイムズによる報道の後、Nokiaはニューヨーク・タイムズに対する公式声明を発表しました。

Statement on NY Times | Nokia
https://www.nokia.com/about-us/newsroom/statements/nokia-statement-on-new-york-times/


Nokiaによると、ほぼ全ての国のネットワークには法執行機関の要請に応じて特定のデータを追跡・表示できる「合法的傍受機能」が組み込まれているとのこと。この機能を実現するために、Nokiaを含む通信機器メーカーは通信内容を追跡・表示する機能を組み込む必要があると主張しています。さらに、Nokiaはロシアにネットワークインフラストラクチャーを提供している複数の企業の1つであることや、SORMの保守を行っていない点を挙げて「SORMにNokiaが深く関与しているとするニューヨーク・タイムズの報道は、誤解を招くものです」と述べています。

また、公式声明の末尾には「Nokiaはロシアによるウクライナ侵攻および人々への殺傷行為を強く非難します。私たちはロシアへの制裁を支持し、ロシアへのハードウェアおよびソフトウェアの提供を停止しています」と記しており、ロシアのウクライナ侵攻を改めて非難する姿勢を示しています。

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in セキュリティ, Posted by log1o_hf

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