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DJIのドローンを事実上使用禁止にする法案が登場


「世界最大級のドローンメーカーであるDJIは中国共産党とつながりがあり、国家安全保障上の脅威をもたらす」として、DJIのドローンの使用禁止を求める法案が、アメリカ下院のエネルギー・商業委員会を通過しました。DJIは法案が「不正確で根拠のない主張に基づいている」と、強く反論しています。

Stefanik’s CCP Drones Act and FACT Act Advance through E&C Committee Following Markup | Press Releases | Congresswoman Elise Stefanik
https://stefanik.house.gov/press-releases?ID=345D6086-C162-48E0-B645-B2732E9BDBA7


A Chinese Firm Is America’s Favorite Drone Maker. Except in Washington. - The New York Times
https://www.nytimes.com/2024/04/25/us/politics/us-china-drones-dji.html

DJI Could Get Banned In The U.S. As Authorities Believe That The Chinese Firm And Its Drones Present A Major Security Risk
https://wccftech.com/dji-getting-banned-in-the-us/

DJI faces US ban if the Countering CCP Drones Act becomes law - The Verge
https://www.theverge.com/2024/4/26/24141369/dji-ban-china-countering-ccp-drones-act

エリス・ステファニク議員が提出したのは「Countering CCP Drones Act(対中国共産党ドローン法)」と「Foreign Adversary Communications Transparency Act(外敵通信透明化法:FACT法)」の2つで、いずれも下院のエネルギー・商業委員会を全会一致で通過しました。


ステファニク議員は「私の提出した2つの超党派法案の成立は、アメリカの国家安全保障にとっての勝利であり、敵対する中国共産党によって重要インフラを監視されデータを収集されているアメリカ人にとっても勝利です。議会は、中国共産党によるドローン市場と通信インフラの独占的支配を阻止し、アメリカの産業の力を高めるために、あらゆる手段を駆使しなければなりません」と述べました。

中国共産党との戦略的競争に関する特別小委員会で委員長を務めているラジャ・クリシュナモールティ氏は「DJIと中国共産党とのつながりに基づいて、政府はすでにDJIを国家安全保障についての脅威であると位置づけ、複数の政府機関のブラックリストに掲載しています。今回の法案は、DJIのような深刻な安全保障上の脅威をもたらす海外製技術がアメリカのネットワークで動作しないようにすることで、アメリカのサプライチェーンを強化しつつ、我々の通信機器をさらに保護しようとするものです」と述べています。

また、ウイグル人権プロジェクトのオメル・カナト事務局長は「DJIは、ウイグル人やその他のトルコ系民族を大量虐殺の対象としている監視国家にデータを提供しています。アメリカ政府にとって、アメリカ人と法執行機関が人権侵害に加担することなく、また中国にデータが渡らないよう保護することを保証すべき時が来ました。DJIが連邦通信委員会のブラックリストに追加されるように率先して取り組んでくれたステファニク氏とその同僚に感謝します」とコメントしました。

クリシュナモールティ氏が述べたように、すでにアメリカ商務省は2020年にDJIを禁輸リストに追加済み。

ドローン世界最大手の中国企業「DJI」をアメリカ商務省が禁輸リストに追加、理由は「人権侵害への技術的荷担」 - GIGAZINE


また、2021年には財務省が「中国軍産複合体企業」リストにDJIを追加しています。

ドローンメーカー「DJI」などがアメリカ財務省の「中国軍産複合体企業」ブラックリスト入り - GIGAZINE


DJIは、今回の「対中国共産党ドローン法案」に対して、「不正確で根拠のない主張」だと反論しています。

Get The Facts: Countering CCP Drones Act
https://viewpoints.dji.com/blog/get-the-facts-countering-ccp-drones-act

以下がDJIの示した「不正確な情報」への回答です。

誤った主張1:
DJIのドローンは、個人の体温や心拍数を測定できる技術とセンサーを搭載し、アメリカの高解像度画像から大量の機密データを収集している。

DJIの回答:
DJIのドローンは標準状態ではフライトログや写真、映像を収集しません。データを共有するには、オペレーターによるオプトインが必要です。追加のデータ保護策として、ローカルデータモードを使うとフライトアプリがネットから完全に切り離されます。

また、DJIは体温や心拍数を測定するような目的でのドローンの使用を推奨していません。公共の安全や緊急対応のため、COVID-19のパンデミック時に、ドローンの新たな使用例が模索されたことはあります。ドローンを介した体温測定もその1つですが、メリットよりもデメリットが多いです。心拍数の測定に関しては、別のドローンメーカーが行ったもので、DJIは関与していません。

誤った主張2:
DJIはスパイ活動を支援するよう、政府から強制される可能性がある。

DJIの回答:
DJIは、事業を行う市場の規則や規制に従います。他のグローバルテクノロジー企業と同様に、現地の法律に基づいて特定情報を開示することがあります。

命令があった場合、DJIは情報開示の要件を満たしているかを確認します。要件には、開示を求められている情報が当該国の管轄内でDJIと共有されたデータのみを含む場合と定められています。そして、このことはDJIがアクセス可能なデータに限られます。前述の通り、DJIは標準状態ではフライトログ、写真、映像の収集は行っていません。

誤った主張3:
DJIは中国の軍事会社である。

DJIの回答:
DJIは軍事会社ではありません。我々は、ドローンの兵器利用を明確に非難し、積極的に阻止している数少ないドローンメーカーの1つです。DJIは軍事用製品を製造しておらず、兵器ビジネスの機会は追求していません。ディストリビューターやリセラー、その他のビジネスパートナーも、DJI製品の販売にあたっては、このポリシーに従うことを約束しています。約束を破った場合、ビジネス関係が終了することを彼らは理解しています。

誤った主張4:
DJIは人権侵害を支援している。

DJIの回答:
DJIは人権侵害などの活動に一切関与していません。他のメーカーと同様、DJI製品は既製品であり、どのように使われるかコントロールすることはできません。しかし、製品の安全性とセキュリティに関する長年の投資を通じて、DJI製品が平和的かつ民間利用のみを目的として開発されていることを実証しています。

なお、もし法案が議会を通過して法律として制定された場合、既存のドローンは規制されないものの、DJIの新製品を飛ばすことはできなくなるとのことです。

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in メモ, Posted by logc_nt

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