ウクライナ政府が「偽情報を流していた10万の偽アカウントを操る5つのボットファーム」を押収したと発表

ウクライナ保安庁(SSU)が2022年3月28日に、ロシアとの戦争が始まって以来、フェイクニュースを拡散している10万以上の偽SNSアカウントを運用していたボットネットワークの拠点を5つ特定し、機器やSIMカードなどを押収したと発表しました。

З початку війни СБУ ліквідувала 5 ворожих ботоферм потужністю понад 100 тис. фейкових акаунтів
https://ssu.gov.ua/novyny/z-pochatku-viiny-sbu-likviduvala-5-vorozhykh-botoferm-potuzhnistiu-ponad-100-tys-feikovykh-akauntiv

Ukraine dismantles 5 disinformation bot farms, seizes 10,000 SIM cards
https://www.bleepingcomputer.com/news/security/ukraine-dismantles-5-disinformation-bot-farms-seizes-10-000-sim-cards/

SSUは公式サイトで、2月24日に始まったロシアのウクライナ侵攻以来、ハルキウ(ハリコフ)、チェルカースィ、テルノーピリ、ザカルパッチャ州で運営されていたボットネットワーク拠点5つを閉鎖したと発表しました。

ウクライナ東部にあるハルキウから最西端のザカルパッチャ州まで、ほぼウクライナ全土で運営されていたこれらのボットファームは、ウクライナ国民の士気をくじいてパニックを発生させることを目的に、合計で10万件以上ものアカウントを駆使してウクライナへの攻撃やウクライナの防衛軍の状況についての偽の情報を拡散していたとSSUは述べています。

以下は、SSUが押収したボットファームの1つの写真です。

ウクライナ当局の捜索により、他にも欧州で使われる携帯電話の通信規格であるGSMのゲートウェイ機器100セットや、ウクライナの不正行為を偽装するために使われていた各種携帯電話事業者向けSIMカード約1万枚、ボットの制御や調整に使用されていたPCなどが差し押さえられたとのことです。

SSUは発表の中で、「ウクライナの領土保全と不可侵性の侵害を禁じる刑法第110条に基づき、我が国に対する侵略に関与した者を裁くための緊急の包括的措置が進行中です」と述べました。

IT系ニュースサイト・BleepingComputerによると、SSUの公式サイトは開戦以来たびたびオフラインになっており、侵攻への対処に追われている状況とのこと。そんな中で今回の取り締まりについて発表した点について、BleepingComputerは「ウクライナのサイバー機関が少なくともある程度の活動を継続し、その活動内容を日々発表している点は注目に値します」「こうしたウクライナ軍による取り締まり活動は、悪意のあるサイバー活動が無視できなくなった新時代の戦争を象徴するものです」と評価しました。