ウクライナがClearview AIの顔認識技術を利用開始、ロシア側の戦死者や工作員の特定に活用か
ウクライナ国防省が顔認証技術スタートアップとして知られるClearview AIの技術を導入したことがわかりました。Clearview AIの顔認証エンジンは非常に強力で、検問所で目標としている人物を見つけることなどが簡単になるとみられます。
EXCLUSIVE Ukraine has started using Clearview AI’s facial recognition during war | Reuters
https://www.reuters.com/technology/exclusive-ukraine-has-started-using-clearview-ais-facial-recognition-during-war-2022-03-13/
Clearview AIのホアン・トン・タットCEOによると、Clearview AI側からロシアの攻撃者の摘発や誤報対策、戦死者の身元確認に利用できると提案を行い、ウクライナに採用されたものだとのこと。
トン・タットCEOによれば、Clearview AIが保有する100億枚以上の写真データベースのうち20億枚以上がロシアのSNS・VKontakteからのもので、仮に顔が損傷していても機能するため、指紋を用いるよりも容易に戦死者の身元を特定することができるとのこと。そのほか、家族と離ればなれになってしまった難民の再会や、紛れ込んだロシア側工作員の特定、戦争に関連して流れされているSNSでのフェイクニュースの否定にも利用できます。
トン・タットCEOは、Clearview AIは本人確認の唯一の手段として用いられるべきではなく、戦争中の人道的扱いに関する法的基準を定めたジュネーヴ条約に反した使用は望まないと述べていますが、監視技術監視プロジェクトのアルバート・フォックス・カーン事務局長は戦闘中、あるいは検問所で顔を誤認する可能性を挙げ、「善意の技術が裏目に出て、助けられるはずの人々に害を及ぼすのを見ることになるだろう」と注意喚起し、「この種のシステムや関連データベースを線上に導入した場合、どう使われ、悪用されるかを制御することはできません」と述べました。
実際のところ、ウクライナがトン・タットCEOの挙げた目的で使用するためにClearview AIを導入したのかどうかは不明です。
なお、Clearview AIはウェブサイトやSNSから写真をスクレイピングして技術を構築しているとしてGoogleなどからデータ使用停止を求められ、カナダの法的機関からは契約を打ち切られています。
ネット上の顔写真30億枚超を使った顔認証技術を提供する「Clearview AI」がプライバシー問題で法的機関から契約を打ち切られる - GIGAZINE
・つづき
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