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ネット上の30億枚超の顔写真から顔認証アプリを開発する「Clearview AI」にGoogle・YouTube・Venmo・LinkedInなどがデータの使用停止を求める

by Steven Lilley

Google、YouTube、VenmoLinkedInといった複数の企業が、ウェブサイトやソーシャルメディアプラットフォームから画像をスクレイピングして顔認証アプリを開発しているClearview AIに対して、スクレイピングを停止するよう求める通告書を送付したことが明らかになりました。

Clearview AI: Google, YouTube Venmo and LinkedIn send cease-and-desist letter to facial recognition app - CBS News
https://www.cbsnews.com/news/clearview-ai-google-youtube-send-cease-and-desist-letter-to-facial-recognition-app/

スタートアップのClearview AIは、SNS上の顔写真などを用いて顔認証アプリを開発しているとニューヨークタイムズに報じられ、大きな話題となりました。この報道を受け、Clearview AIはイリノイ州東部管区北部地区の地方裁判所で「被告のClearview AIは、同意を得ず、通知もせずに、インターネットを利用して、これまでに何か悪事をはたらいたと疑う理由もなしに、約30億枚の写真を収集し、大勢のアメリカ市民に関する情報を密かに集めた」として訴訟を起こされる事態にまで発展しています。

Clearview AIは連邦捜査局(FBI)をはじめとする多数の法執行機関によって利用されており、アメリカの政府内機関が、政府に対して顔認証技術の使用を禁止するよう圧力をかけているとも報じられました。

「顔認識技術の使用禁止」を政府内の監視機関が警察など法執行機関に要求 - GIGAZINE

by IBM Research

危機的状況に陥るClearview AIに対して、Twitterは2020年1月末に同社のサービス経由でユーザーの顔写真等を収集することを止めるよう通告書を送付したことが報じられています。そして、新たにGoogle、YouTube、Venmo、LinkedInといった企業も、自社サービス経由でユーザーの顔写真を収集することを禁じる旨を記した通告書をClearview AIに送付したことが判明しました。

Clearview AIの顔認証アプリは「自分の写真をインターネット上から収集された30億枚もの画像データベースと比較することで顔認証できる」というシステムで、その精度は99.6%ともいわれています。Clearview AIのCEOであるHoan Ton-That氏によると、同社の顔認識アプリは法執行機関が犯罪者を特定するためだけに使用できるものとなっています。Ton-That氏はCBS Newsに対して、「我が社の顔認証アプリは事後の調査にのみ使用されることを覚えておく必要があります。これは年中無休で稼働する監視システムではありません」と語り、プライバシーの侵害は最小限のものであることをアピール。

しかし、Twitterおよび新たにClearview AIに対して停止通告書を送付したGoogle、YouTube、Venmo、LinkedInといった企業は、「Clearview AIはポリシーに違反している」と主張しています。YouTubeの広報担当者であるアレックス・ジョセフ氏は、「YouTubeの利用規約は、個人を特定することに使用できるようなデータの収集を明示的に禁止しています。Clearview AIはまさにその行為を行っていると公に認めました」と語り、Clearview AIがポリシーに違反していると主張。

by Proxyclick Visitor Management System

VenmoはCBS Newsに対して、「Venmoをスクレイピングすることは利用規約に違反しているため、Clearview AIによるポリシーに違反する行為を制限・禁止するために積極的に取り組んでいます」という声明を発表。LinkedInも同じように「会員情報のスクレイピングは、当社の利用規約の中では許可されていないため、ユーザーを保護するための措置を講じていきます」という声明をCBS Newsに送付。

Twitterはデータのスクレイピングを停止するだけでなく、これまでにTwitter経由で収集したデータの削除についても求めています。Twitterの広報担当者は、CBS Newsに対して「当社のサービスを利用する人々の声を擁護・尊重することは、Twitterにおける中核的価値のひとつです。我々は今後もプライバシー保護に取り組んでいきます」とコメントしています。

これらの企業だけでなく、FacebookもClearview AIとやり取りを行いながら、スクレイピングに関する詳細情報を求めているとCBS Newsは報じています。FacebookもClearview AIに対して同社のデータを利用することを停止するように求めているそうです。ただし、FacebookはClearview AIのスクレイピングに対して評価を行っている段階で、記事作成時点では正式な停止通告書を送付していないとのこと。

by Alex Haney

なお、Clearview AIはアメリカ合衆国憲法修正第1条を基に「公開データにアクセスする権利がある」と主張。また、Clearview AIによると、アメリカの600を超える法執行機関が同社のソフトウェアを使用しているそうです。

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in ソフトウェア,   ネットサービス, Posted by logu_ii

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