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ロシアのウクライナ侵攻に関するフェイクニュースが増加するもTwitterのファクトチェック機能「Birdwatch」は役に立っていない


ロシアがウクライナへの軍事侵攻を始めると共にインターネット上でのプロパガンダも活発化しており、TwitterやFacebookなどはフェイクニュースを発信するアカウントの削除などの対応を行っています。Twitterは誤情報拡散を防ぐ試みにユーザー自身が参加できる「Birdwatch」という新機能に取り組んでいますが、これまでのところBirdwatchは役に立っていないとアメリカの日刊紙であるワシントン・ポストが報じています。

Twitter’s fact-checking project, Birdwatch, is MIA as Ukraine rumors swirl - The Washington Post
https://www.washingtonpost.com/technology/2022/03/01/twitter-birdwatch-ukraine-fact-checking-misinfo/

Twitterが開発している「Birdwatch」とは、誤解を招いたりフェイクだったりするツイートにユーザーがメモを残し、他のユーザーと情報を共有できるようにする機能です。コミュニティ主導でファクトチェックを行うことにより、専門的なファクトチェッカーだけでは不可能な速度と範囲で、ファクトチェックが可能になることが期待されていました。Birdwatchのテストは2021年1月に開始され、2021年6月にはパイロットプログラムに参加するユーザー向けに、他のユーザーが書いたメモが表示されるようになりました。

Twitterユーザー自身が誤情報を指摘する「Birdwatch」のメモが一部ユーザー向けに表示開始 - GIGAZINE


ところが、2022年3月になってもBirdwatchは小さなパイロットプログラムのままであり、ボランティアが書いたメモは依然として一般ユーザーに見えないままだとワシントン・ポストは指摘。なかなかTwitterがBirdwatchを拡大しないのは、Twitter内での優先順位が下がっているか、期待していたほどの結果が得られていないことを示唆しているとのこと。

Twitterが公開しているBirdwatchに関するデータを分析したところ、パイロットプログラムの参加者はロシアのウクライナ侵攻前は1日当たり43件のツイートにフラグを立てていましたが、侵攻後は1日当たり156件に増加していたそうです。しかし、Birdwatchのパイロットプログラムに登録されている人数は1万人である一方、2022年に入ってからツイートにフラグを立てた人数はわずか359人だったとワシントン・ポストは指摘。「ちなみに、Twitterの報告によると1日当たり2億1700万人がTwitterを利用しているようです」と述べ、Birdwatchに貢献しているボランティアが少なすぎるのではないかと示唆しています。

ワシントン・ポストがTwitterに対し、なぜBirdwatchがパイロットプログラム以上に展開しないのかを尋ねたところ、広報担当のTatiana Britt氏は直接的な答えを避けたとのこと。Britt氏は「安全に実施することができ、学習の向上に貢献できる場合は、規模を拡大していく予定です」「私たちはBirdwatchが人々の役に立ち、理解を深めるのを助けるものだと保証することに重点を置いています」と述べており、Twitterは依然としてBirdwatchを安全にスケールアップする方法を理解していない模様。


Birdwatchはさまざまなニュースが飛び交う広範なプラットフォームにおいて、フェイクニュースに対処する大胆で創造的なアプローチとして期待されている一方、「特定の主義を打ち出すツイートにフラグを立てるグループ」など、民主的な仕組みが悪用されることも懸念されています。ファクトチェックサイトのTruth or Fictionで編集長を務めるBrooke Binkowski氏は、Birdwatchについて「悪い組織がハイジャックすることはあまりに簡単です」と指摘しています。

その一方で、ワシントン・ポストはBirdwatchのパイロットプログラム参加者が立てたフラグのうち、いくつかは確かにフェイクの情報を正確に指摘していることも確認しています。たとえば、「マウリポリで起きた爆発」として投稿されたある動画に対しては、同じ動画が数カ月前にTikTokで投稿されていたことを示すフラグが2人の参加者によって立てられていたとのこと。ワシントン・ポストは、「ほとんどの場合、『役に立つ』と評価されたファクトチェックメモは、実際に役に立つ可能性があると思われました」と述べつつも、記事作成時点ではパイロットプログラム参加者以外がBirdwatchのメモを見ることはできず、ツイートの表示にも影響していないため、今のところ役に立ってはいないと述べました。

なお、Twitterの製品担当ヴァイス・プレジデントであるKeith Coleman氏は現地時間の3月2日に、ワシントン・ポストの記事に関するツイートにリプライする形で、「私たちは間もなくBirdwatchのパイロットプログラムを拡大する予定です」と述べています。

We'll be expanding the pilot very soon. It's important to us that notes are helpful to people (incl ppl from a wide range of views) and we've been focused on making that a reality before expanding. It's essential to the product having the impact we believe it can.

— Keith Coleman ???????????? (@kcoleman)

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in ネットサービス, Posted by log1h_ik

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