メモ

「国連安保理の常任理事国にロシアは不当に居座っている」とウクライナの国連大使が主張

by Bernd Untiedt

国連安全保障理事会(UNSC)において「拒否権」を有するなど優位な地位を与えられた「5大国」こと常任理事国は、アメリカ、フランス、中国、イギリス、ロシアの5カ国。この5カ国が常任理事国である旨は国連憲章に記載があり、憲章が改正されない限り地位は不変とされますが、ウクライナの国連特使がこれに対し「ロシアが国連に加盟しているのかどうかは全くもって疑わしい」とウクライナメディアのEuropean Pravdaで発言しています。

Russia Has Illegally Gained UN Security Council Seat. It Should Be Fixed | European Pravda
https://www.eurointegration.com.ua/eng/articles/2022/02/8/7133682/

2022年2月8日にEuropean Pravdaが掲載した記事では、ウクライナの国連特使であるセルギィ・キシュリツァ大使が、「ロシアの国連加盟を確認する公的な記録はありません」と主張しています。というのも、国連規約では安保理の常任理事国の席はソ連に属しているのであり、ロシアは国連安保理に加盟していないとのこと。

国連憲章とは、1945年6月の「サンフランシスコ会議」で50カ国が国連を設立するために署名したもの。この文書には、ソ連(SSR)、ウクライナSSR、ベラルーシSSRの署名はあるものの、当時ソ連邦の一員として別に存在していたロシア外務省、すなわちソビエトロシアの署名はないのだとキシュリツァ大使は述べています。


1991年12月21日に旧ソ連諸国の首脳はソ連が消滅することを決定しました。ちょうど1991年12月の国連安全保障理事会でソ連は議長国となっており、「国連事務局は、ロシアのエリツィン大統領から国連と安全保障理事会におけるソ連の後継者になるつもりである、という書簡を受け取った」と伝達されました。

しかし、キシュリツァ大使が主張するところによると、国連憲章が常任理事国として定めているのは「アメリカ、フランス、中国、イギリス、そしてソ連」であり、ロシアだけが適正な手続きをパスして常任理事国の席に座っています。ロシアが正しく常任理事国であるためには、安保理で投票し、総会で投票し、国連加盟国の少なくとも3分の2の議会で国連憲章の改正に批准する必要があります。


また、キシュリツァ大使は「国連憲章の第4条には、平和な国であれば誰でも国連に加盟することができると書かれています。平和的であることが条件です。これは、ロシアを除くすべての国家で満たされています」と発言しています。ロシアだけが基本的なルールを破ることが許されているのは、1991年当時にソ連が予想外に消滅し、世界がパニックに陥る中でソ連の核と通常兵器をコントロールするために、ロシアに委ねざるを得なかっただけであるとのこと。

キシュリツァ大使が指摘するもう一つの大きな問題点は、「国連は文書を隠している」という点。ウクライナのスタッフが国連事務局の文書館に足を運んで詳細な文書を法的分析することを求めても、事務局の職員は目の前の書類を「これは見せてもいいが、これは機密だからダメだ」と分類していくのだそうです。

国連がロシアの国連加盟に関する真実を恐れているのは、国際法には「慣習的規範」があり、仮にロシアが不正な議席を得ていたとしたら、「ロシアが参加した決定はどうなるのか、ロシアが拒否権を発動した決定はどうなるのか」という事実が正当化できなくなってしまうからだとキシュリツァ大使は説明します。キシュリツァ大使は、「私の大使としての最優先事項はロシアのウクライナ侵略に関する交渉ですが、国連への要求も続けていきます。国連がこのまま憲章を履行していくようならば、ルールに基づく世界安全保障システムは地球上に存在しないことを国連が告白することになります」と強い主張をしています。

この記事のタイトルとURLをコピーする

・関連記事
ロシアによるウクライナ侵攻で想定されるルートは? - GIGAZINE

ウクライナ東部の弾薬貯蔵庫で爆発事故が発生し2万人が避難、「ドローン爆撃による破壊工作」説も - GIGAZINE

ロシアによるウクライナ侵攻が宇宙開発に与える影響とは? - GIGAZINE

ウクライナ政府が一連のサイバー攻撃はロシア政府が黒幕だとして非難 - GIGAZINE

ウクライナ政府サイトにDDoS攻撃、さらに数百台のウクライナのマシンにデータ削除を行う新しいマルウェアを発見 - GIGAZINE

in メモ, Posted by log1e_dh

You can read the machine translated English article here.