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「インフレは財布だけでなくメンタルヘルスにもダメージを与えうる」と専門家が主張


コロナ禍によって低迷していた個人消費の持ち直しを受け、世界的にインフレの波が広がっています。インフレが個人に与える影響について、新たに「インフレによって経済的不平等が深刻化し、低所得者のメンタルヘルスがさらに悪化する」と専門家が主張しています。

Inflation could hit your mental health as much as your wallet, psychologists say | Live Science
https://www.livescience.com/inflation-mental-health-impact

2021年末頃から世界的なインフレが続いており、特にアメリカでは2022年12月における消費者物価指数が「前年比7%増」に達し、39年ぶりに記録を更新しました。この現象はイギリスにおいても同様で、イギリスは2021年12月における消費者物価指数が前年比5.4%増。2022年のインフレ率は7%を上回るとさえ予想されています。

世界中で続くインフレに関する心理的な影響を指摘しているのは、カナダ・アルバータ大学の社会学者であるリサ・ストローシャイン氏。経済的原因が生み出すストレスや家族間関係などの専門家であるストローシャイン氏は、「経済的に最低水準に位置している人は、パンデミックによってかつてないほど不安定になっている」と主張します。

「インフレが国民の生活に悪影響を及ぼしている」という主張に聞き覚えがあるかもしれませんが、ストローシャイン氏いわく「インフレが進んだとしても、必ず経済的・精神的な問題が増加するとは限らない」とのこと。これはインフレを上回るペースで給与が上昇すれば生活が改善されるように、実際にインフレが生活に悪影響を与えるか否かはインフレ以外の経済的要因に大きく左右されるためです。しかし、今回のインフレ以前には新型コロナウイルスの世界的流行が長期にわたって続いたため、コロナ禍によってストレスが臨界点に達していたところにインフレが最後の一押しになったとストローシャイン氏は主張します。


イギリス大手紙のThe Guardianが2022年2月に「賃金の伸び率はインフレに追いついていない」と報じたように、今回のインフレの中で労働者の生活状況が悪化しているという報道が続いています。2022年2月にアメリカ大手紙のThe Washington Postが発表した調査結果では、持続するインフレの中で低所得者は家賃・食料品・日用品の高騰に苦しんでいるものの、各種投資がインフレを追い風にした好調の波に乗っているため、富裕層はむしろ利益を享受していることが明らかになっています。

また、労働者の比率が高い働き盛りの年齢が今回のインフレの被害者という指摘も存在します。サンディエゴ州立大学の心理学者であるジーン・トゥインジ氏が発表した研究によると、2020年のパンデミック危機中において、メンタルヘルスに最も大きな打撃を受けた年齢層は18~44歳だった一方、最も打撃を受けなかった年齢層は60歳以上の高齢者でした。この調査結果の背景にある理由について、トゥインジ氏は「若い人ほど事業閉鎖や雇用喪失の影響を強く受けるため」と推測しています。


若年層のメンタルヘルスの危機は、ストローシャイン氏も指摘しています。2008年のリーマン・ショックが生み出した不況に関する研究では、不況時に大学生だったミレニアル世代(1980年~1994年生まれ)は学生ローンの返済や高失業率によって結婚や住宅購入に踏み切る年齢が遅れたことが示されています。コロナ禍においては感染拡大防止措置を講じる大学も多く、これまでには存在していた社会的交流やキャリア形成などの機会が大学生活から失われた中に今回のインフレ不況が発生しているため、ストローシャイン氏は「自分の将来に不安どころか絶望感すら感じている若者は多い」と語っています。

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in メモ, Posted by darkhorse_log

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