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新型コロナによる学校閉鎖で自宅待機を強いられる子どもたちのメンタルヘルス悪化が問題になっている


2019年末から世界規模で猛威を振るっている新型コロナウイルスの影響で世界中の多くの人が外出を控えており、地域によっては学校に通えない子どもたちも多くいます。「新型コロナウイルスの流行による学校閉鎖が、子どもたちのメンタルヘルスに悪影響を与えている」という調査結果をロイターが発表しました。

Schools, COVID and Mental Health
https://www.reuters.com/investigates/special-report/health-coronavirus-students/


ロイターは2021年2月に、アメリカ国内の学区を対象に調査を実施。その結果、回答した74学区のうち、およそ4分の3にあたる55学区で「ストレスがたまってメンタルヘルスが悪化している子どもたちが増加した」ことが判明しました。


また、回答した地区のほぼ9割で、学生の欠席や休学の割合が高まっていることが判明。回答した地区の半数以上が「学校の閉鎖によって対面教育が欠如し、子どもたちのメンタルヘルスの悪化が進んでいる」と述べました。

さらに回答した地区の57%から、「教師とサポートスタッフを増やしてほしい」という人的支援を求める声が挙がっていたとロイターは報告しています。

2020年の春に、新型コロナウイルスの感染拡大を阻止するため、アメリカ国内の幼稚園から高校に至るまですべての公立学校を閉鎖する措置がとられました。その多くは一時的な措置でしたが、地区によっては教育委員会や教師組合、PTAが学校を再開することに反対しており、いまだに学校に通えない子どもたちが存在しています。


アメリカ疾病予防管理センター(CDC)は「学校内で集団感染が発生することはありますが、学校で感染対策が実施されていれば、学校内での感染は通常、地域社会での感染レベルよりも低いか、少なくとも同程度であることが複数の研究で示されています」と述べ、長期にわたる学校閉鎖の有効性に疑問を呈しています。

それでも、子どもたちが学校で感染して家に新型コロナウイルスを持ち帰ってしまうリスクを考える一部の保護者は、子どもたちの登校を拒否しています。特に、糖尿病や自己免疫疾患などを抱えて新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の重症化リスクが高い人がいる家庭の中には、登校だけでなく外出も一切許さないというケースも存在します。


しかし、友人や教師と一切会うことなく自宅待機を続ける子どもたちが家族をCOVID-19で失ったり、家族がパンデミックの影響で失職するところを目の当たりにすることで、子どもたちのメンタルヘルスが悪化してしまうケースも多いとのこと。

テキサス州サンアントニオ市南部のサマーセット独立学区では、メンタルヘルスの専門家チームに「自殺の兆候が示される」と判断された子どもたちが2倍に増加。さらに、自殺の兆候がうかがわれた子どもたちの多くが自宅でリモート学習を行う子どもたちに集中していたことがわかりました。加えて、「学校に通わなくなったことで家庭が密室化し、児童虐待の事例が表面化しにくくなる」という問題も指摘されています。


サンフランシスコ州で2人の息子を育てるサリバン・モーガンさんは、自宅待機でオンライン学習を続ける自分の子どものメンタルヘルスが悪化していることに気づきました。11歳の長男はご飯を食べなくなり、部屋に引きこもって天井を見つめながらベッドで過ごすようになってしまいました。また、8歳の次男は何度も悲鳴を上げて泣き叫ぶようになったそうです。

そこで、モーガンさんは2020年12月に夫と相談して家を売り払い、公立学校が再開しているテキサス州への引っ越しを断行。息子たちは学校へ週5日通うようになってから元気になったそうで、「子どもたちは若く回復力はありますが、限界があります。子どもたちはようやく元の自分を取り戻すことができました」とモーガンさんは語りました。

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in メモ, Posted by log1i_yk

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