セキュリティ

FBIがGoogleに「特定地域を通過した全Androidデバイスの情報提供」を求めたことが発覚


スマートフォンの位置情報はさまざまなアプリやサービスを使用する上で役に立ちますが、一方で位置情報の取り扱いがプライバシーを脅かしているという指摘も存在します。新たに、ブラック・ライヴズ・マター運動に関連する捜査において、アメリカ連邦捜査局(FBI)が「特定地域を通過した全Androidデバイスの情報」をGoogleに求めたことが報じられました。

Seattle-FBI-geofence-warrant-Oct-2020 - DocumentCloud
https://www.documentcloud.org/documents/21197805-seattle-fbi-geofence-warrant-oct-2020

FBI used geofence warrant in Seattle after BLM protest attack, new documents show - The Verge
https://www.theverge.com/2022/2/5/22918487/fbi-geofence-seattle-blm-protest-police-guild-attack

2020年8月23日、アメリカ・ウィスコンシン州で黒人男性のジェイコブ・ブレーク氏が警察官による背後からの銃撃を受け、内臓や脊髄を損傷する重傷を負いました。事件発生直後からアメリカ各地で抗議デモが行われ、翌日にはワシントン州シアトルの警察官組合本部に火炎瓶が投げ込まれる事件が発生。幸いにも本格的な火災には至りませんでしたが、シアトル警察は放火未遂事件として捜査を開始しました。

何者かが建物に火炎瓶を投げつける様子は、以下のムービーで確認できます。

Video surveillance shows criminal activists attacked the Seattle Police Officers Guild office with two Molotov cocktails. This happened the same night as other activists attempted to cement officers into a precinct the activists tried to burn down.

READ: https://t.co/NXfkmV4BOE pic.twitter.com/DFltLXhZzK

— Jason Rantz on KTTH Radio (@jasonrantz)


2022年2月3日に公開された文書からは、「火炎瓶が投げ込まれた前後の時間帯に周辺地域を通過した全Androidデバイスの情報」の開示を求め、FBIがGoogleに対して「ジオフェンス令状」を使用したことが明らかになっています。ジオフェンスとは仮想的な境界で囲まれたエリアを指す言葉で、スマートフォンなどの位置情報を使えば一定のジオフェンス内に立ち入った人物を特定することができます。

FBI捜査官は宣誓供述書の中で、「2020年8月24日の午後11時頃、未特定の容疑者2人が即席の発火装置とみられる物体を用いて、シアトル警察官組合の建物を故意に損害を与えました」「上記に基づいて、Googleが現在保有している情報や、対象地域内にあると報告された端末に関連した情報を検索する、正当な理由があると主張します」と述べました。

FBIのジオフェンス令状はGoogleに宛てられたものであり、GPSや可視化されたWi-Fi接続ポイント、Bluetoothビーコンを含む位置情報に基づいたデータ提供を求めています。FBIが指定したジオフェンスは緯度や軽度に基づく座標・日付・時刻によって定義されており、地理的範囲は警察官組合の建物を含むブロックやその周囲に位置する4つの交差点を含んでいて、期間は2020年8月24日22時~23時15分となっていました。


Googleは一般的に、ジオフェンス令状において指定された範囲内を通過したAndroidデバイスについて、匿名化された状態のリストを法執行機関に提供しており、これらのデバイスのいずれかが事件に関係している可能性が高まった場合、法執行機関はさらに詳細な情報を引き出すことができるそうです。裁判所記録によると、シアトル警察官組合本部の放火未遂事件に関する捜査でも、Googleは令状が出た翌日にリストを提供したとのこと。

海外メディアのThe Vergeは、FBIはジオフェンス令状を出してから数カ月後の2021年4月に事件の情報を求めて2万ドル(約230万円)の報奨金を出したことを指摘し、令状に基づいて提供されたAndroidデバイスの情報は犯人逮捕につながらなかったと述べています。

Googleの広報担当者はThe Vergeに対し、「私たちは法執行機関の重要な仕事をサポートしながら、ユーザープライバシーを保護するように設計された厳格なプロセスを持っています」とコメント。一方、FBIやシアトル警察の広報担当者は、The Vergeのコメント要請に応じませんでした。

ジオフェンス令状の使用は近年急速に増加しており、Googleが2018年に受け取ったジオフェンス令状はわずか982件だったのに対し、2020年は1万1554件と10倍以上に増加しているとのことです。

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in モバイル,   セキュリティ, Posted by log1h_ik

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