VR版Firefox「Firefox Reality」が提供終了へ、後継ソフトは「Wolvic」
ウェブブラウザのFirefoxを開発するMozillaは、VR・AR環境専用ブラウザ「Firefox Reality」の提供を終了し、開発プロジェクトを外部のチームにバトンタッチし、新しい名前で再スタートさせると発表しました。後を継ぐのはオープンソースソフトウェアのコンサルタント企業であるIgaliaで、Firefox Realityのソースコードを使ったブラウザ「Wolvic」をリリースする予定です。
Update on Firefox Reality
https://blog.mozilla.org/en/mozilla/news/update-on-firefox-reality/
Introducing Wolvic | Igalia
https://www.igalia.com/2022/02/03/Introducing-Wolvic.html
Firefox Realityの開発プロジェクトが立ち上がったのは2018年で、Viveport、Oculus、DaydreamといったVRプラットホームにおいて無料で配信されています。
MozillaがVRに最適化したブラウザ「Firefox Reality」をリリース - GIGAZINE
Firefox Realityは単なるウェブブラウザではなく、通常のPCやスマートフォンとは異なるユーザーエクスペリエンスを提供するVR空間ならではのウェブブラウジングを提供するために開発されているのが特徴で、ウェブベースのVRコンテンツに触れる入口としても機能していました。
WebVR APIやWebXR Device APIの開発にも参加していたMozillaは、Firefox RealityのプロジェクトをIgaliaに引き継ぐことについて「Firefox Realityの自然な進化」と位置づけており、Firefox Realityを育ててウェブに貢献できる組織としてIgaliaに託したと述べています。なお、Firefox Realityと同じく、Wolvicもオープンソースのブラウザとして開発が進められるとのこと。
Igaliaによれば、「Wolvic」という名前は、Wolf(オオカミ)に由来しているとのこと。Igaliaは「ブラウザは動物と関連づけられるという伝統があります。Firefoxはキツネで、Braveはアイコンにライオンを使っていますし、ピューマやイルカをモチーフにしたブラウザもあります」と述べ、オオカミが生態系を維持するために重要な生物であるのと同様に、ウェブにおけるエコシステムの健全性を維持する存在でありたいという願いを込めて、Wolvicと名付けたことを明らかにしています。もちろん名前がかっこよく見えたこととドメインが利用可能であったことも考慮したそうです。
Wolvicがどんなブラウザなのかは以下のムービーを見るとよくわかります。WolvicのUIはFirefox Realityとほぼ同じ。
Introducing Wolvic XR Trailer #1 - YouTube
Igaliaのデベロッパー・アドボケイトを務めるブライアン・カーデル氏は「Firefox Realityプロジェクトは、ユーザーに選択肢を与え、ウェブへのオープンで無制限なアクセスをVRあるいはARデバイス上で強く維持することを目的としています。これらのアイデアは、Igaliaの活動の中核をなすものです。Firefox RealityからWolvicを開発するための種火を受け継ぐことができることに興奮しています。Mozillaと共に、ウェブのエコシステムが健全に保たれるよう支援していきます」とコメントしました。
なお、Firefox Realityは2022年2月中には各プラットフォームのアプリストアから削除されるとのことです。
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