レビュー

5K解像度・視野角120度でVRへの没入感を極限まで高めてくれるスタンドアローン型VRデバイス「HTC VIVE Focus 3」レビュー


HTCのVRデバイスブランド「VIVE」から、スタンドアローン型のVRデバイス「VIVE Focus 3」が2021年6月30日に登場しました。QualcommのSoC・Snapdragon XR2と8GBのRAM、5K解像度・視野角120度・フレームレート標準90Hzを実現したディスプレイを搭載しているこのVIVE Focus 3を体験する機会を得たので、実際に装着して仮想現実の世界を堪能してみました。

VIVE Focus 3 概要 | VIVE 日本
https://www.vive.com/jp/product/vive-focus3/overview/

VIVE Focus 3が収まる箱


パカリと開けると中はこんな感じ。


VIVE Focus 3本体とコントローラー1対。


VIVE Focus 3はスタンドアローン型で、PCに接続することなくヘッドセットのみで動作します。


ヘッドバンド部分込みのサイズは実測で、幅最大約20cm×奥行き最大約30cm×高さ約10cm。以下の写真は、同じスタンドアローン型VRヘッドセットのOculus Quest 2(右)と並べたところで、グラス部分はVIVE Focus 3の方がOculus Quest 2よりもわずかに大きめ。


VIVE Focus 3を正面から見たところ。四隅にインサイドアウトカメラがあります。グラス部分の中央はツヤがあり、周囲の景色が映り込みます。また、VIVEのロゴが真ん中にあしらわれています。


中央上部にはLEDのインジケーターと、冷却ファンの排気口がありました。


VIVE Focus 3の底部はこんな感じ。


グラス部分の中央にはマグネットで固定できるカバーがあり、その中にはUSB Type-Cポートが1つ。カバーに隣接するダイヤルで、瞳孔間距離(IPD)を調整できます。また、画像右にあるスイッチは音量調節用のスイッチです。


グラス部分の内側


鼻の部分にはシリコン製のカバーがついているので、装着した時に鼻周辺から光が漏れるということがありません。


フェイスカバー部分はマグネットで固定されており、軽く力を入れると簡単に外すことができます。


フェイスカバーを外すと、左奥にmicroSDカードスロットがありました。VIVE Focus 3は最大2TBのmicroSDをサポートしています。


右側面にはUSB 3.2 Gen 1USB Type-C出入力ポートと3.5mmオーディオ端子。


左側面はこんな感じ。


左右のバンドの内側には埋め込み型のスピーカーがあります。


装着しやすいように、 バンド部分は上下可動となっています。


頭を抑えるヘッドバンド部分。中央にあるダイヤルでヘッドバンドの長さを調整することができます。また、右上には充電用のACアダプターを挿すポートがあります。


ヘッドバンドの内側にはマグネットで固定されているクッションがあります。クッションを外すと、バッテリー入れになっていました。


バッテリーはこんな感じ。ヘッドセットのバッテリーの連続使用時間はおよそ2時間で、急速充電によって30分で50%まで充電可能です。


バッテリー込みでヘッドセットの重さは実測で781gでした。


左右のコントローラーはこんな感じ。握った内側に丸いセンサー部分がくる形状。


実際に握るとこんな感じ。


バッテリーは乾電池交換式ではなく充電池内蔵式で、連続使用時間は15時間となっています。USB Type-Cポートが底面にあり、ヘッドセットからUSB Type-Cケーブルで接続することで充電できます。


Oculus Quest 2のTouchコントローラー(右)と並べたところが以下。形や太さは似ていますが、VIVE Focus 3のコントローラーの方が長くなっています。


他の内容物は、レンズを拭くためのクロス、コントローラー2つを同時に充電できる二股のUSB Type-Cケーブル、ヘッドセットとPCを接続するUSB Type-A-USB Type-Cケーブル、ヘッドセット充電用のACアダプター。


ACアダプターは入力が100~240V・750mA、出力が12V・2.5A。ケーブル端子はDCプラグになっています。


ヘッドセットを装着します。まずグラス部分を顔に当ててから、ヘッドバンドを下ろします。


上部のバンドの長さを調整。


ヘッドバンド部分のダイヤルを回して、ヘッドセットをしっかりと固定します。


こんな感じで装着できました。グラス部分がやや大きいので、メガネをしたまま装着しても、違和感がありません。また、ダイヤルで機械的に締め付けるので、しっかりと固定すればかなり安定しています。前のグラス部分に主要な基盤や部品が詰まっていますが、後頭部にバッテリーが搭載されているので、前後の重量バランスが取られており、ヘッドセットがずり落ちにくくなっているのも特徴です。


ヘッドバンド部分にあるスイッチを長押しして、ヘッドセットの電源を入れます。


同時にヘッドセットを細かく動かしたりIPD調整ダイヤルを操作したりして、にじみやぼけがないように調整します。


VIVE Focus 3は推奨プレイエリア最大10m×10m、最小プレイエリア1.5m×1.5mとなっています。ディスプレイにはインサイドアウトカメラで撮影した周囲の状況が「パススルー映像」として表示されており、コントローラーで床に線を引き、プレイエリアを定めます。これで準備完了。


プレイエリアの境界を設定する時、VIVE Focus 3から見えている光景は以下のムービーで見ることができます。

5K解像度&フレームレート標準90Hzのスタンドアロン型VRデバイス「HTC VIVE Focus 3」でプレイ境界を設定するところ - YouTube


準備が完了したので、実際にVIVE Focus 3でさまざまなコンテンツに触れてみました。


最初に触ってみた「Mona Lisa: Beyond the Glass」は、VR空間に再現されたルーブル美術館に入館し、レオナルド・ダ・ヴィンチの名画「モナ・リザ」を観覧できるアプリ。2019年にレオナルド・ダ・ヴィンチ没後500年を記念して開発されました。

このアプリの特徴は、ルーブル美術館の館内を再現している点。ルーブル美術館の外や……


内部が細部まで再現されており、自宅にいながらにして本当にルーブル美術館に行った気分になれるアプリとなっています。特にVIVE Focus 3の5K解像度ディスプレイで体験することで、高い臨場感が得られます。


そして、最先端の赤外線スキャンによって精密に再現された「モナ・リザ」を、手を伸ばせば触れられる距離にまで近づいて見ることが可能


「Mona Lisa: Beyond the Glass」で、解説のナレーションを聞きながら「モナ・リザ」を観覧する様子が以下のムービー。

VIVE Focus 3で不朽の名作「モナ・リザ」を堪能できる「Mona Lisa: Beyond the Glass」はこんな感じ - YouTube


なお、VIVE公式のサブスクリプションサービス「VIVE Port Infinity」に登録すれば、VRゲームが遊び放題。今回はVIVE Port Infinityで遊ぶことができるVRボクシングゲーム「Rhythm Boxing」をプレイしてみました。

ルールはシンプルで、トレーナーの指示と音楽に合わせて、タイミングよくパンチを打ち込むというもの。


もちろんパンチはコントローラーを握る手を突き出すことで繰り出します。右に左にとパンチを指定されるので、かなりの運動量。


さらにトレーナーがこちらに向かってパンチを仕掛けてくることも。


VIVE Focus 3は前後・左右・上下を認識する6DoFに対応。そのまま避けるように体を動かすことで、実際にトレーナーからのパンチを避けることができます。VIVE Focus 3はヘッドセットがかなりしっかりと頭に固定されるので、激しく動いてもズレません。また、VIVE Focus 3のフレームレートは標準で90Hzとなっているので、トレーナーの動きや素早いパンチもなめらかに表示され、カクカクすることはありませんでした。なお、全身を使ってプレイするのでモリモリと体力が削られていきます。


以下のムービーは、実際に「Rhythm Boxing」をプレイしてみたところ。

VIVE Focus 3で「Rhythm Boxing」をプレイしてみた - YouTube


また、VR専用ウェブブラウザの「Firefox Reality」では、VR空間の中に湾曲したタブウィンドウが表示され、そのままネットブラウジングが可能。VR空間の中で複数のサイトを同時にチェックできます。


VIVE Focus 3の5K解像度・視野120度ディスプレイによる美麗な映像、さらに視界の密閉度が高く、埋め込み型スピーカーから再生される音声もしっかりと聞こえるので、VR空間への没入感はかなり高いと感じました。また、前後左右上下を認識する6DoFに対応しており、スタンドアローン型なのでケーブルを気にせずに自由に動き回れます。さらに、メガネをつけたまま装着しても気にならないサイズになっており、ヘッドバンド部分がしっかりした作りで、装着してからガッチリと固定するので、ヘッドセットがズレにくいのが大きなポイント。加えて、各パーツはマグネットで固定する形になっていて、グラス部分のフェイスパーツやヘッドバンド部分のクッションは簡単に取り外すことができ、メンテナンス性も高いと感じました。

スタンドアローン型のVRデバイスで気になるのは「高いスペックを要求するVRコンテンツがスムーズに表示されるか」という部分ですが、動作がカクカクしたり音と映像にズレが生じたりすることなく、ストレスフリーでVRを体験することができました。連続して使っていると熱が心配になりますが、冷却ファンがついているので、1時間以上使っていても熱がこもることはありませんでした。冷却ファンの音は耳を澄ますと聞こえてくる程度で、コンテンツの音が再生されると全く気になりませんでした。

VIVE Focus 3の価格は税込13万900円。Amazon.co.jpでも購入可能です。

Amazon | 【国内正規品】 HTC VIVE Focus 3 | ゲーム

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in レビュー,   ハードウェア,   動画,   ゲーム, Posted by log1i_yk

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