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販売から5周年を迎えた「Oculus Rift」の開発者がこれまでの歩みを振り返る


Facebookの傘下のVR関連テクノロジー開発企業である「Oculus」が、初の一般消費者向けVRヘッドセットである「Oculus Rift」が発売されてから5年を迎えたことを記念して、これまでの歩みを振り返っています。

Five Years of VR: An Oral History from Oculus Rift to Quest 2
https://tech.fb.com/five-years-of-vr-an-oral-history-from-oculus-rift-to-quest-2/

Oculus Riftが一般消費者向けに発売されたのは2016年3月のことで、そこからVRヘッドセットは急速に普及していきました。この5年間を、PCWorldのゲーム担当ライターでありFacebookの公式テクノロジーブログ・Technology at Facebookに記事を寄稿しているヘイデン・ディンマン氏は、「『もう5年経った』とも『まだ5年しか経っていない』ともいえる」と記しています。

この5年間の歩みの中で感じたこととして、ディンマン氏は「VRは今後も継続して成長していく分野であり、広く普及するにはまだまだ長い道のりがある」と指摘しています。Facebook Reality Labsのチーフサイエンティストを務めるミハエル・アブラシュ氏も、「VRは我々がこれまで見たことのない技術であり、長い成長の歴史の始まりを切ったばかりのテクノロジーです」と語っています。

そんなOculusとVRヘッドセットの物語は、Oculus Riftが発売された2016年にスタートしたわけではありません。それよりも前にOculusがスタートアップとして立ち上げられ、クラウドファンディングサイトのKickstarter上でVRヘッドセット開発のための資金を募ったり、一般消費者向けの製品版が発売される前には2つの開発者向けキットがリリースされたりしています。

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Oculus Riftの登場以前にもVRデバイスは存在しましたが、スマートフォンの普及によるディスプレイや低電力電子機器といった技術の発展により、「VRを実現するための技術がアイデアに追いついた」とディンマン氏は指摘しています。Oculusでプロダクトマーケティングを担当するニコール・ブレンディス氏も、「VRの旅はOculus Questから始まったわけではなく、DK1(最初の開発者向けキット)から始まりました」と語っています。

DK2の開発時からOculusでエンジニアとして働くライアン・ブラウン氏は、「特に大きな挑戦となったのはVRヘッドセット用のディスプレイでした。光学の観点からVRにとって何が重要かを理解し、最も効果的だと思われるディスプレイを用意し、これにさまざまな部品を取り付けてVRヘッドセットのプロトタイプとして機能させました」と語っています。

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また、当時立ち上げられたばかりのスタートアップに過ぎなかったOculusが、Valveと協力して構築したVR空間「The Valve Room」を体験したというジェイソン・ルビン氏は、「私にとって最初のOculusのデモは、VR上の空間である『The Valve Room』に入るというものでした。この体験はとにかく素晴らしいもので、私は本当に仮想空間にいるものと信じ込み、デモが楽しくて2度もプレイしてしまいました。部屋の壁にバーコードのようなものが貼られており、これをヘッドセットで読み取ることで、プロトタイプはユーザーの位置を把握していました。かなり重いヘッドセットで、現在のOculus Quest 2のような優れたものではありませんでしたが、魔法のような体験でした」と、当時の感動を語っています。

Oculus Studiosでエグゼクティブプロデューサーを務めるラス・ブラム氏は、「2014年当時、我々にユーザーという存在はありませんでした。そのため、VRにとって『正しい』ものを見つけ、『楽しみ』を見つけ、体験が可能な限り快適であることを確認することが我々にとっての仕事でした。当時、我々が提携していた開発者のほとんどが中小規模のインディーズゲームスタジオで、彼らは全く新しい種類のプラットフォーム上でゲームを作ることができる機会を待ちわびていたようです。なので、そんな開発者たちと一緒にVRについて探求するという経験はとても素晴らしいものとなりました。そんな初期の開発者たちがVRコンテンツを開拓したといっても過言ではありません。そして、一部の開発者たちは今もVRコンテンツを作成しています 」と語り、手探りでVRコンテンツを作り出した開発者の功績により、今日のVR業界が成り立っていると強調しています。

Oculusメディアスタジオのエグゼクティブプロデューサーであるイレーナ・ラチトスキー氏は、「当時はまさにVRにとっての開拓時代でした。Oculusの公式ストアができる前で、実験的なコンテンツもたくさん存在しました。当時VR向けに開発を行っていた人は、もれなく全員情熱的でした」と語っています。


そして2014年、VRヘッドセットを開発するOculusをFacebookが買収します。ルビン氏は「多くの人がFacebookの買収がどれだけ重要だったかを理解していません。この買収により、Oculusは1年先の収益に一喜一憂する企業から、10年後あるいは20年後の先を見据えることができる会社になったんです」と主張。実際、ルビン氏もFacebookによる買収の後にOculusに加わったことを明かしています。

別のエンジニアたちからも、「FacebookなしでOculus RiftやOculus Touchをリリースすることはできませんでした。買収によりドリームチームを雇うだけの資金ができ、実際多くのエンジニアを雇用したことが、これらの製品をリリースできた理由です」「Facebookに買収されていなければ、我々は別の道を歩んでいたでしょう」などの声があがっています。

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ブログでは、Oculus Riftの誕生秘話やFacebookによる買収劇以外にも、Oculus Rift専用のグリップ型コントローラーである「Oculus Touch」やVRゲームとして大ヒットを記録した「Beat Saber」、単体で使用可能なVRヘッドセット「Oculus Go」、Oculus Goの後継として生まれた生まれた「Oculus Quest」、最新のスタンドアローン型VRヘッドセット「Oculus Quest 2」など、これまでOculusが開発に携わってきたさまざまなデバイスおよびタイトルに関する秘話が、OculusでVRデバイスの開発に携わっている複数のエンジニアたちの口から語られています。

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in ハードウェア,   ゲーム, Posted by logu_ii

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