ルール違反でAmazonを追い出された中国業者が今度はウォルマートのオンラインマーケットプレイスに続々参入
Amazonでは組織的な偽レビューの投稿が相次いでおり、2021年にはAmazonが偽レビュー規制を強化して多数の中国業者を追放したことが報じられています。そんな中、ECサイト関連の調査会社であるMarketplace Pulseが「Amazonを追放された中国業者がウォルマートに流れている」とする調査結果を発表しました。
Marketplaces Year in Review 2021 - Marketplace Pulse
https://www.marketplacepulse.com/marketplaces-year-in-review-2021
Amazonで買い物をする際は、各製品に寄せられたレビューを確認することで製品の特徴や品質を把握できます。しかし、Amazonで製品を販売する業者の一部がレビュアーに報酬を払ってレビューを投稿させていることや、偽レビューを投稿する大規模な組織が存在することが相次いで報じられており、Amazonは偽レビューを減らすための取り組みを強化しています。
Amazonによる偽レビュー規制強化の結果、2021年9月までに3000以上のサードパーティー販売業者のアカウントが停止され、600を越える中国ブランドがAmazonを追放されました。Amazonは、この発表に際して「今後も不正使用の検出を改善し、レビューの不正を含むポリシー違反に故意に関与するような人物を含む、悪意ある攻撃者に対して強制的な措置を講じていきます」という声明を発表しており、規制強化が今後も続くことを強調していました。
Amazonが偽レビューまみれの中国ブランド600超を追放したと発表 - GIGAZINE
Marketplace Pulseによると、上述のAmazonによる偽レビュー規制強化直後から複数の中国業者においてレビュー数の激減が確認されたとのこと。Marketplace Pulseが公開した「ある中国業者の製品に対するレビュー数の推移を示すグラフ」を確認すると、2021年に入ってからレビュー数が急激に減少していることが分かります。
以下のグラフは、Amazonマーケットプレイスにおける中国業者のシェアを示しています。中国業者のシェアは2017年1月の16.14%から徐々に成長して2020年12月には42.3%にまで達していましたが、Amazonによる規制強化が行われた2021年には成長が鈍化して2021年12月には36.9%となりました。
Amazonにおける中国業者の成長が鈍化する中、世界最大のスーパーマーケットチェーンであるウォルマートは2021年3月にアメリカ以外の国に拠点を置く業者に対してマーケットプレイスを開放。加えて、ウォルマートのグローバルソーシング担当ヴァイスプレジデントのミシェル・ミ氏が中国の深センで行われた国際会議で「中国の販売業者は国境をまたぐEC分野で非常に明白な優位性を持っています」と発言し、中国の影響力の高さを強調しました。
そして、2021年3月以降に中国業者がウォルマートのマーケットプレイスへ続々と参入し、2021年12月には6000以上の中国業者がウォルマートでの製品販売を開始しています。これらの中国業者の一部はウォルマートの配達代行サービス「Walmart Fulfillment Services(WFS)」を利用しているとのことで、Marketplace Pulseは「中国業者がWFSを利用している場合、ウォルマートの利用客からは販売元が分からなくなります。これは、Amazonのフルフィルメントサービスを利用する場合と同様です」と指摘しています。
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