サイエンス

ロボットが人間の助けなしで人間より高い精度で外科手術に成功


医学の世界ではロボットを用いた手術支援技術の開発が進められてきましたが、新たにロボットが人間の助けを借りずに単体で豚に外科手術を施すという試みが行われ、この手術が無事成功に終わったことが明らかになっています。

Autonomous robotic laparoscopic surgery for intestinal anastomosis
https://www.science.org/doi/10.1126/scirobotics.abj2908

Smart Tissue Autonomous Robot performs laparoscopic surgery on pig soft tissue without human help
https://www.news-medical.net/news/20220127/Smart-Tissue-Autonomous-Robot-performs-laparoscopic-surgery-on-pig-soft-tissue-without-human-help.aspx

Robot successfully performs keyhole surgery on pigs without human help | Robots | The Guardian
https://www.theguardian.com/technology/2022/jan/26/robot-successfully-performs-keyhole-surgery-on-pigs-without-human-help

2022年1月26日付けで、「Smart Tissue Autonomous Robot(STAR)」と呼ばれるロボットが、4頭の豚の腸の両端をつなぐための腹腔鏡手術に成功したという論文がScience Roboticsに掲載されました。論文の著者のひとりであるジョンズ・ホプキンス大学のアクセル・クリーガー氏によると、ロボットが人間の助けなしに腹腔鏡手術を実施したのは今回が初めてのことだそうです。

なお、STARが手術する様子は以下の記事でチェックできます。

医師の代わりに自動で手術してくれるロボットが開発中、実際に手術する様子のムービーはこんな感じ - GIGAZINE


腹腔鏡手術は腸の両端をつなぐ胃腸の手術の中でも特に困難な手法のひとつで、高い精度と一貫性で縫合を施す必要があります。わずかな手の震えや縫合箇所のずれが漏れを引き起こし、患者に致命的な合併症を引き起こす可能性があります。そんな腹腔鏡手術でSTARは「人間よりも大幅に優れた結果を生み出した」とのこと。

STARの開発に携わったのは、ジョンズ・ホプキンス大学で機械工学の准教授を務めるクリーガー氏。STARは軟組織を縫合するために特別に設計された視覚誘導システムを搭載したロボット。通常、腸を縫合するには大きな切開が必要になりますが、STARは特殊な縫合ツールや画像システムを搭載することで、小さな切開で精度の高い縫合が可能になっています。


軟組織の縫合は非常に難しく、予期せぬ障害物などに迅速に対応する必要があります。しかし、論文によるとSTARは人間の外科医のようにリアルタイムで手術計画を調整することができたそうで、「STARを特別なものにしているのは、最小限の人間の介入で軟組織の手術計画を計画・適応・実行することができるという点です」とクリーガー氏は語りました。

「ロボットによる縫合は、高精度かつ高い再現性を必要とする外科的タスクを、外科医のスキルに関係なくすべての患者に対して正確かつ精密に実行できるようにするための方法のひとつです」と研究チームは主張しています。

この記事のタイトルとURLをコピーする

・関連記事
医師の代わりに自動で手術してくれるロボットが開発中、実際に手術する様子のムービーはこんな感じ - GIGAZINE

手術のムービーを見て学習し実際に縫合手術をマスターしたAI「Motion2Vec」が登場 - GIGAZINE

世界で初めてロボットが人間の目の手術に成功、人間の外科医の10倍の精度を発揮 - GIGAZINE

手足を失った人が「幻肢」を利用して手術なしで動かせるロボットアームが開発される - GIGAZINE

in ハードウェア,   サイエンス, Posted by logu_ii

You can read the machine translated English article here.