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「Spotifyが新型コロナのデマを垂れ流している」と医師や科学者ら総勢260人が抗議の書簡を公開


免疫学や疫学、微生物学など幅広い分野の科学者や大学教授、医療の専門家などが連名で、Spotifyに対して新型コロナウイルス感染症やワクチンに関する誤情報の抑制と対策を求める公開書簡を発表しました。署名した医療関係者らは特に、Spotifyで番組を放送をしているポッドキャスト司会者でコメディアンのジョー・ローガン氏を名指して、同氏が拡散する誤情報とその影響力に対する懸念を表明しています。

An Open Letter to Spotify – An Open Letter to Spotify
https://spotifyopenletter.wordpress.com/2022/01/10/an-open-letter-to-spotify/

Scientists, Doctors Call on Spotify to Implement Misinformation Policy Over Claims on Joe Rogan Show
https://techpolicy.press/scientists-doctors-call-on-spotify-to-implement-misinformation-policy-over-claims-on-joe-rogan-show/

今回、Spotifyに対する公開状を発表した医師らによると、ローガン氏がSpotifyで独占配信しているポッドキャスト番組である「Joe Rogan Experience(JRE)」では、ワクチン接種に反対したり新型コロナウイルス感染症に効果がないことが知られているイベルメクチンの適応外使用を推奨したりするなど、誤情報が繰り返し拡散されてきたとのこと。

さらに、2021年12月31日に放送された番組では、かねてからデマの拡散で非難を浴びていてTwitterアカウントまで凍結されているウイルス学者のロバート・マローン氏がゲストとして登場し、パンデミック政策をユダヤ人絶滅政策であるホロコーストに例えた上で「政府が国民に催眠術をかけている」と主張するなど、独自の陰謀論を展開しました。


ローガン氏が放送するJREは1話当たりの推定リスナー数が約1100万人と世界最大のポッドキャストで、その影響力も多大です。しかし、Spotifyは誤情報に関するポリシーを持っていないためデマの拡散には対処できておらず、対応にも消極的です。

Spotifyで誤情報が垂れ流されている問題は過去にもたびたび指摘されてきましたが、SpotifyのCEOであるDaniel Ek氏は「私が言いたいのは、Spotifyには800万人のクリエイターがいて、何億ものコンテンツがあるということです。私たちはすでにコンテンツポリシーを持っており、それに違反する作品は削除するようにしています」と述べて、誤情報に焦点を当てたポリシーを策定するといった措置を拒否しました。それどころか、Ek氏はSpotifyの決算説明会で、JREをSpotifyでの成功例として取り上げたことさえあるとのことです。

こうしたSpotifyの現状に対し、医師らは「このような大規模な誤情報は、科学に対する一般市民の不信感を募らせ、パンデミックへの対応で限界に達しつつある医療現場の状況をさらに悪化させるなど、非常に危険な結果をもたらします。これは科学界や医学界の問題ではなく壊滅的な社会問題であり、Spotifyにはこのような活動をはびこらせた責任があります」と述べて、Spotifyに対して誤情報を抑制する対策を迅速に確立させるよう要請しました。

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in ネットサービス,   サイエンス, Posted by log1l_ks

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