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Spotifyを悪用して全く無名のアーティストが再生回数を稼ぎまくる方法とは?


音楽ストリーミングサービスのSpotifyは人々が音楽と出会う方法に大きな変化をもたらしており、中には「Spotifyのおかげで音楽でお金を稼げるようになった」と語るインディーズのミュージシャンも存在します。そんな中、一部の人々はアーティストとしての人気がほとんどないにもかかわらず、Spotifyの仕組みを悪用して収入を得ていることが報じられています。

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https://onezero.medium.com/why-spotify-has-so-many-bizarre-generic-artists-like-white-noise-baby-sleep-c9ce09dc9002

テクノロジー系メディアのOneZeroによると、Spotify上では「Relaxing Music Therapy」や「Pro Sound Effects Library」、「Yoga」といった奇妙な名前のアーティストの曲を、1カ月当たり数十万人ものリスナーが聞いているとのこと。これらのアーティストは一般的にはほとんど無名であり、そもそもSpotify以外のプラットフォームでは活動していないことが多いそうですが、再生数に応じて1カ月に数万円~数十万円もの収入をSpotifyから得ています。

一体なぜこれらのアーティストがSpotify上でたくさん聞かれているのかという理由について、OneZeroは「成功の鍵は、Spotifyユーザーが検索する可能性が高い偽のアーティスト名を付けることです」と指摘。「Relax」「Sound」「White Noise」「Sleep」「Pop」「Rock」といった、音楽を形容する時に使われやすい単語をアーティスト名に付けることで、ユーザーが何かを検索した際に発見されやすくなっているそうです。

また、この手法を用いる人物は偽のアーティスト名に関連するタイトルの楽曲を頻繁に投稿することで、視聴回数を稼ぎやすくしているとのこと。たとえば「Relaxing Music Therapy」というアカウントは、「Stream in the Forest With Rain」という名前の楽曲を616回も投稿しています。


「検索結果に登場しやすい名前を使う」という戦略は、Spotifyが用いる独自のマーケティング戦略に適合したものだとOneZeroは述べています。Spotifyは「最も人気があるアーティストを強調するプラットフォーム」ではなく、「その時の気分に合った音楽を提供するプラットフォーム」となることを目指しているとのこと。

バークリー音楽大学で音楽ビジネス・経営学を研究するジョージ・ハワード准教授は、「Spotifyはユーザーエクスペリエンスに関する一連の決定や運営を通じて、リスナーの大多数が楽曲の作成者を楽曲から切り離せるようにしました」と指摘。Spotifyのプラットフォームの仕組みを悪用する人物は、「Spotifyの方針」や「ユーザーがどのように音楽を見つけるのか」といった観点から、検索されやすい単語を使う戦略を編みだしたと考えられています。


アーティストから楽曲を買い取ってSpotifyに投稿する「SubmitMusic」の創設者・Jason Cerf氏は、Spotifyの仕組みを利用した戦略で収益を稼ぐ人物のひとりです。Cerf氏は多岐にわたるジャンルの楽曲を買い集め、ストリーミングに適したアーティスト名やトラック名、アルバムのデザインを考案し、Spotifyでリリースして収益を得ています。

Cerf氏は、「私たちは大規模なメタデータ戦略を開発するクリエイティブチームを持っています」と述べており、ブレーンストーミングのセッションを行って、Spotifyで再生されやすいアーティスト名を生み出しているとのこと。なお、SpotifyはSEO戦略について明文化したルールを設けていないものの、Cerf氏はあくまで楽曲の内容に合った名前を付けているそうです。

「あなたが『ジョージ・スミス』というアーティスト名を付けてクラシックのアルバムを出したとしても、デジタル消費者が心を引かれることはないでしょう。もしあなたが『クラシック・エレガンテ(Classique Elegante)』という名前でクラシック音楽を発表した場合、楽曲にぴったりな名前が上部と中央に表示されます。おそらく、デジタルアクティビティやクリック数が増えるでしょう」と、Cerf氏は述べました。


Spotify上での再生回数を増やす手段としては、自分の気分に合わせた音楽を探すユーザーが検索しやすい単語を用いるほかに、「ハッピーバースデー(Happy Birthday)」のような、非常に大衆的な曲のカバーを大量にアップロードするというものもあります。

アーティスト名自体が「Happy Birthday」であるアカウントは、EDMからアコースティックまでさまざまなスタイルの「ハッピーバースデー」をアップロードしています。また、「Children’s Music」というアカウントは、「Wheel on the Bus(本来は『Wheels on the Bus』)」、「If Your Happy and You Know It(本来は『If You're Happy and You Know It』)」など、曲名の一部だけを変えた楽曲を何度も投稿して再生回数を稼いでいるそうです。

また、「Lofi Chillhop」や「LoFi Chill」など、特定のジャンル名をそのままアーティスト名にしたアカウントは、出所が不明な楽曲をアップロードして再生回数を稼いでいるとのこと。そのため、別のプラットフォームで活動するアーティストの楽曲が、知らないうちに収益稼ぎに利用されている可能性もあります。

Spotifyはアーティストの著作権を守るための取り組みとして、パートナーである音楽配信サービスのDistroKidが提供するデジタルコンテンツの識別システム「DistroLock」の導入や、ブロックチェーンを用いて楽曲の所有権を強化する計画などを発表しています。しかし、2020年9月の時点でこれらの取り組みは依然としてSpotifyのプラットフォームに導入されていません。

ハワード氏は、Spotify上で収益を稼ぐために様々な戦略を用いる人々にとって、再生回数を増やすためにSpotifyのシステムを利用しない手はないだろうと指摘。Spotifyのシステム自体に欠陥が存在し、人々はその内部で戦略的に振る舞っていると主張しました。

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in ネットサービス, Posted by log1h_ik

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