キヤノン製プリンターで非公式トナーを使う方法が公式発表される、半導体不足の影響
長年にわたってプリンター業界では「本体を安く売ってトナーやサービスを高く売る」という商法が慣例となってきました。そんな中、半導体不足の影響を受けてキヤノンのドイツ支社がこれまでの慣例を破るような「非公式トナーを使う方法」を公式サポートに掲載しています。
Interim-Toner - Canon Deutschland
https://www.canon.de/support/business-product-support/interim-toner/
Canon can’t get enough toner chips, so it’s telling customers how to defeat its DRM | Ars Technica
https://arstechnica.com/tech-policy/2022/01/chip-shortage-has-canon-telling-customers-how-to-skirt-its-printer-toner-drm/
プリンターはトナーカートリッジ側にICチップが組み込まれており、このICチップによって「公式トナー」を認証しています。このICチップはトナー残量の読み取りにも用いられますが、ICチップが組み込まれていない非公式カートリッジを取り付けると印刷を拒否するなど、実質的に「非公式トナー排除機構」として働くケースも存在しました。
しかし、今日の世界的な半導体不足の影響を受け、キヤノンのドイツ支社が「非公式カートリッジを取り付ける方法」を公式サポートページに掲載しました。
その内容は要約すると「ICチップが組み込まれていない非公式カートリッジを取り付けるとエラーメッセージが出ますが、そのエラーメッセージは無視して使ってください」というもの。エラーメッセージは製品の型番によって異なりますが、一例が以下。この場合は「当該カートリッジは何らかの誤動作を起こしているかキヤノン純正品ではありません」というエラーが出ているので、「I Agree」を押して普通に使い続ければOKとのこと。
ただし、前述のようにICチップはトナー残量の読み取りにも用いられるため、ICチップの組み込まれていない非公式品を使う場合は、トナー残量をパーセント表示する機能が働かないとのこと。そのため、表示上はトナー残量が突然100%から0%になるそうで、このサポートガイダンスは「0%になったらカートリッジを替えてください」と説明しています。
対象となっている製品は、同社のビジネス向け大型プリンター「imageRUNNER」シリーズで、型番は以下。
imageRUNNER 1435i/1435iF
imageRUNNER 2625i/2630i/2645i
imageRUNNER ADVANCE 4525i/4535i/4545i/4551i, II und III
imageRUNNER ADVANCE C250i/350i/C351iF
imageRUNNER ADVANCE C255i/C355i/C355iF/C256i/356i
imageRUNNER ADVANCE C256i/356i II und III
imageRUNNER ADVANCE C3320i/3325i/3330i
imageRUNNER ADVANCE C3520i/3525i/3530i, II und III
imageRUNNER ADVANCE C5535i/5540i/5550i/5560i, II und III
imageRUNNER ADVANCE DX 4725i/4735i/4745i/4751i
imageRUNNER ADVANCE DX 6000i
imageRUNNER ADVANCE DX C257i/C357i
imageRUNNER ADVANCE DX C3720i/3725i/3730i
imageRUNNER ADVANCE DX C3822i/3826i/3830i/3835i
imageRUNNER ADVANCE DX C5735i/5740i/5750i/5760i
imageRUNNER C1325iF/1335iF
imageRUNNER C3025i
imageRUNNER C3125i
imageRUNNER C3226i
キヤノンのドイツ支社は当該サポートガイダンスの前書きに「消耗品の継続的かつ安定的な供給を確保するため、半導体部品を含まない消耗品の納入を決定しました。半導体部品を含まない消耗品を使用する場合でも印刷品質への悪影響はありませんが、トナー残量検知など一部の付加機能が影響を受ける可能性があります」と記しています。
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