キヤノンの中国子会社が「笑顔認証」機能付きAIカメラを社内に設置、入室時の笑顔100%を保証
キヤノンの中国子会社であるCanon Information Technologyが社内に「笑顔認証」機能付きAIカメラを設置したと報じられました。IT系ニュースメディアのThe Vergeは「ディストピアな職場監視の最新の例」「憂鬱な話」とコメントしています。
China’s tech workers pushed to their limits by surveillance software | Financial Times
https://www.ft.com/content/b74b6ad6-3b8d-4cd8-9dd6-3b49754aa1c7
Canon put AI cameras in its Chinese offices that only let smiling workers inside - The Verge
https://www.theverge.com/2021/6/17/22538160/ai-camera-smile-recognition-office-workers-china-canon
Canon's AI Cameras Force Employees to Smile to Enter Work
https://interestingengineering.com/canon-ai-cameras-force-employees-smile
Canon Information Technologyが社内に設置したのは、2020年に自社開発した「スマートワークスペースソリューション」という名称のスマートITソリューション。「スマートワークスペースソリューション」は笑顔認識の技術をベースに、勤怠管理・入退室管理・体温測定・訪問者登録などのユーザーのニーズに応える5つの基本機能を提供するシステムで、「大笑(よりよい笑顔)」「大健康(よりよい健康)」の理念の元、ポストパンデミック時代に笑顔でリラックスできる職場環境を形成し、仕事効率を向上させるという目的があるとのこと。
最大の特徴の笑顔認証システムは「笑顔のスタッフだけがオフィスやコンベンションルームへの入室が許可される」といった風に活用されるとのこと。このほかにも従業員のコンピューターで動かしているプログラムから生産性を計測したり、監視カメラで昼休みにかかる時間を測定したり、モバイルアプリでオフィス外の行動を追跡することまで可能だそうです。
テクノロジーによる労働者の監視は近年目覚ましい発展を遂げている分野の1つです。一例としてはAmazonは倉庫作業員や配達ドライバーの労働状況をアプリやチャットボットを用いて機械的に管理しており、管理された労働状況の劣悪さは「おしっこにすらいけない」として大きな話題を呼びました。
Amazonが「ドライバーがトイレに行けない問題」を認め謝罪する - GIGAZINE
by Todd Van Hoosear
このほかにも、「Microsoft 365」などのソフトウェアスイートには「生産性スコア」という監視ツールが組み込まれているなど、テクノロジーによる監視はブルーカラー・ホワイトカラーを問わず一般化しつつあり、パンデミックによる在宅勤務の増加を口実に導入事例が増加しているという報告もあります。今回の一件を報じたThe Vergeは「笑顔認証カメラは『目に見える』ため、危険性の低いタイプの監視技術です。他の社員管理技術はもっとわかりにくい形で、おそらくは近いうちにあなたのオフィスに入り込むことでしょう」と記しています。
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