ニンニクはなぜ複数の「かけら」に分かれているのか?

ニンニクの球根をバラすと複数の「かけら」に分かれる理由を、料理や食べ物にまつわる科学を扱うYouTubeチャンネルのMinuteFoodが解説しています。
We (accidentally) broke garlic - YouTube

通常のニンニクは複数のかけらが集まって1個の球根を形作っています。

一方で、皮をむいても複数に分かれず、球根全体が1個の大きなかけらのようになっているソロガーリック(一片種ニンニク)も存在します。

MinuteFoodによると、生育中に球根が複数のかけらへ分かれるために必要な環境条件がそろわなかった場合、ソロガーリックになるとのこと。

ニンニクが複数のかけらに分かれるのは、それぞれのかけらから新しい株を育てて子孫を増やすためです。植物が子孫を残す方法には有性生殖と無性生殖があり、有性生殖は2個体のDNAを組み合わせて親とは異なる遺伝情報を持つ子孫を生み出す方法。これに対し、無性生殖では1個体が自分のDNAを複製して親と同じ遺伝情報を持つ個体を作ります。多くの植物は両方を行っており、有性生殖で遺伝的に異なる子孫を残す一方、無性生殖で手早く数を増やせます。

ニンニクの場合、花を咲かせて種子を作るのが有性生殖、かけらから新しい株を育てるのが無性生殖に当たります。現代の栽培ニンニクの祖先に当たる野生種はまだ特定されていませんが、その祖先は両方の方法で子孫を残していた可能性が高いとMinuteFoodは説明しています。

かけらから新しい株を育てられるのは、それぞれのかけらの中に小さな葉と茎があるため。これらは親株と同じDNAを持つ新しい株へ成長します。

台所に置いたままにしたニンニクから芽が出るのは、かけらの中にある葉や茎が成長を始めたためです。

ニンニクは1つ1つのかけらから新しい株を育てることで無性生殖するため、花を咲かせて受粉し、種子を作るという過程を経なくても、かけらを植えるだけで増やすことができます。この増え方は人間がニンニクを栽培する上でも好都合で、人間はニンニクのかけらを植えて育った株から取れたかけらをさらに植えることを繰り返してきました。MinuteFoodによると、こうした無性生殖の手軽さと効率のよさが、ニンニクが世界各地へ広まってさまざまな料理に使われるようになった一因とのこと。

しかし、無性生殖に頼り続けると、DNAの複製時に生じた突然変異がそのまま子孫へ受け継がれるという問題があります。有性生殖でも突然変異は起こりますが、有性生殖では2個体のDNAが組み合わさるため問題のある突然変異を受け継がない子孫も生まれ、そうした突然変異が集団から失われる可能性もあります。これに対して、無性生殖では問題のある突然変異もそのまま次世代へ複製されるというわけです。

ニンニクでは、かけらからクローンを増やすたびに問題のある突然変異も次の世代へ受け継がれます。人間が何千年にもわたってニンニクのクローンを増やすうちに、種子の形成に関わる領域を中心にゲノムに多くの突然変異が蓄積しました。

また、人間は花や種子を作ることよりも、食用となる球根の成長に多くのエネルギーを使う株を選んで栽培してきたとのこと。MinuteFoodは、こうした突然変異の蓄積と人間による選抜の結果、現代の栽培ニンニクは有性生殖を行う能力をほぼ失ったと説明しています。

有性生殖をほとんど行えない栽培ニンニクは遺伝的多様性が乏しいため、病気や気候変動に対応しにくくなっています。

そこで科学者は病気や気候変動などの将来の脅威に備えるため、ニンニクの有性生殖能力を回復させる研究に取り組んでいるとのことです。
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in 動画, サイエンス, 食, Posted by log1b_ok
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