現生人類の起源を巡る謎とは?
現生人類が属する「ホモ・サピエンス」の起源に関して、「東アフリカの単一の部族から進化した」という学説が広く支持されている一方、さまざまな血統をたどれることも研究により明らかになってきています。そんなホモ・サピエンスの起源を巡る謎について、遺伝学者のラジブ・カーン氏が解説しています。
Yo mama's mama's mama's mama... etc.
https://razib.substack.com/p/yo-mamas-mamas-mamas-mama-etc
現生人類であるホモ・サピエンスは今から6万年前に前の種から進化したと考えられています。この6万年前という時期にはホモ・サピエンスだけでなく、同じヒト科であるネアンデルタール人やホモ・エレクトスが共存していたとされていますが、これら近縁種は時間がたつにつれ絶滅していきました。しかし、遺伝学者であるカーン氏は「これらの血統は全て途絶えたわけではなく、私たち自身の血統に吸収されている」と論じています。
カーン氏は、アフリカから広がったネアンデルタール人や、東アジアに広がったデニソワ人はホモ・サピエンスと交わり、その遺伝的特徴が現代の人々にも現れていると話しています。これら近縁種はホモ・サピエンスの直接の祖先ではないものの、いとこに近い種であることは間違いなく、数十万年にわたる世界的な変化の中でさまざまな相互作用が生まれていったとのこと。
20年以上の間、ホモ・サピエンスは東アフリカの一部の部族から拡大し、全ての先住種に取って代わったという説が支持されてきましたが、現代人の遺伝子を研究する一部の学者らによって、「アフリカ人以外の現代人はネアンデルタール人に似ている」などの説が唱えられ、単一起源説が覆るような動きも見られているとのことです。
従来の化石を中心とした調査に加え、現代人の遺伝的特徴の研究や、古代人の特徴をDNAから導き出す古遺伝学などが行われ、さまざまな説が多方面から持ち上がっています。カーン氏は「古人類学者と遺伝学者が協力して、すべての現代人が単一の東アフリカの部族の子孫であるというシンプルな考えは修正されました」と記し、複雑な起源が解き明かされる過程にあることを示しました。
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