「クモは自分よりも30倍大きいヘビを捕食する」など2021年に判明した動物に関する7つの新事実
2020年に続いて新型コロナウイルス感染症の流行に悩まされた1年でしたが、この1年間で動物の研究も進み、今まで知られていなかった新たな事実が多数明らかになっています。そんな動物にまつわる新発見や新研究を、科学系メディアのScienceNewsが7つピックアップし紹介しています。
Here are 7 incredible things we learned this year that animals can do | Science News
https://www.sciencenews.org/article/animals-creatures-amazing-abilities-research-2021
◆1:心臓を含む胴体を自ら切り離して完全再生させるウミウシ
自ら胴体を切り離して頭部だけになり、その後胴体を完全に再生するウミウシ「コノハミドリガイ」と「クロミドリガイ」が、奈良女子大学の三藤清香氏らにより報告されました。これらのウミウシのうち比較的若い個体は自切直後に藻を食べ始め、7日以内に心臓の再生を開始し、20日以内に全身の再生を完了したとのこと。また、切り離された胴体も触覚刺激に反応して数日から数カ月の間動き続けたことも記録されています。これらの種が胴体を自切するのは、産卵を妨げる体内の寄生虫を排除することが目的だと考えられています。
実際の映像は以下から確認可能です。
コノハミドリガイ自切直後 Sea slug Elysia cf. marginata, just after autotomy - YouTube
◆2:リスは跳ぶ時に枝の柔軟性を考慮している
木から木へと跳び移るリスは、着地点までの距離よりも、むしろ跳躍直前につかまっている枝のしなりの方を重視しているということが明らかになりました。人工のアスレチックを使った実験により、リスは数回の練習だけで枝のしなり具合を覚え、上手に着地することができることが確認されています。
◆3:自分の30倍のサイズのヘビを食べるクモ
主に昆虫、場合によってはカエルなどを食べることで知られているクモですが、一部の種は自分よりはるかに大きなサイズのヘビを食べることがあります。バーゼル大学のマーティン・ニフェラー氏らは319件のクモによるヘビの捕食事例を調べ、11種がヘビを食べるケースがあることを確認しました。以下の画像は、体長0.6〜1.1cmほどのオオヒヒメグモが、体長30cmほどのミナミクビワヘビを捕食しようとしているシーンです。
◆4:水面下を逆さまに泳ぐ昆虫の存在
水生昆虫のガムシの一種が水中に上下逆さまに潜り込み、水面を水中側から蹴って泳いでいる姿がニューカッスル大学のジョン・グールド氏らにより確認されました。このガムシは腹部に空気の層を作り、親水性の足で水をかいて移動しているとのこと。この行動により、捕食者から逃れている可能性があるとグールド氏らは考察しています。
実際の映像は以下から確認可能です。
Watch this beetle walk upside down underneath the water’s surface | Science News - YouTube
◆5:複数の音を同時に発するコトドリ
さまざまな音を模倣することで知られるコトドリが、複数の種類の音を同時に発している姿が初めて観察されました。オーストラリア国立大学のアナスタシア・ダルジエル氏らがあるコトドリの鳴き声を音響分析にかけたところ、そのコトドリは他の鳥が発する警戒音と羽ばたき音を同時に発していたとのこと。この音を試しに再生してみたところ、他の鳥が本物の警戒音だと間違えるほどの再現度であったことも分かっています。コトドリは交尾中またはメスが求愛を中断した時にのみこの音を発したとのことですが、交尾が再開されるのに役立つかどうかは不明だとのことです。
◆6:クモが自重の50倍ものエサを持ち上げる方法
ヒメグモ科のクモは、大きな獲物を狩る時に独特の糸の張り方を行うことで知られており、この現象が初めて定量化されました。ヒメグモ科のクモは糸をあえて緩く張り、獲物の動きを利用する事で大きな獲物でも持ち上げることができているとのことで、これらが新たに力学的に示されています。
◆7:武器を使うホッキョクグマ
イヌイットの間で伝えられてきた「ホッキョクグマはセイウチを殺すために氷や石を投げつける」という話は事実の可能性が高いとの研究結果が発表されました。研究者らは、野生および動物園のホッキョクグマの観察とイヌイットへの調査などから、ホッキョクグマが武器を使う可能性が高いと結論づけており、ホッキョクグマはカラスやチンパンジーに加えて「道具を使う動物」の仲間入りを果たすらしいとのことが分かりました。
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