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MITの学長が資金調達と人材育成に関する危機的状況を説明、「率直に言ってこれは国家にとって損失だ」と話す


アメリカの名門大学であるマサチューセッツ工科大学(MIT)のサリー・コーンブルース学長が、ドナルド・トランプ政権による研究予算の削減に伴う危機的状況について説明しています。

Video transcript: A message from President Kornbluth about funding and the talent pipeline | MIT Office of the President | MIT - Massachusetts Institute of Technology
https://president.mit.edu/writing-speeches/video-transcript-message-president-kornbluth-about-funding-and-talent-pipeline

コーンブルース氏は5月14日に発表したメッセージの中で、「MITは資金調達と人材育成という、関連する2つの分野で継続的な課題に直面しています」と述べ、MITが一体どのような状況に置かれているのかを説明しています。


MITが資金不足に陥っている理由については、アメリカで2025年に可決された「一部の名門私立大学が大学基金から得ている投資収益への課税を、従来の1.4%から8%に引き上げる」という法案が関係しています。これによりMITの大学基金による収益は大幅に減少し、MIT全体で人員削減をせざるを得ない状況になったとのこと。

コーンブルース氏はMITのメンバーに対し、「人員削減が苦痛を伴うものであることは承知しています。しかし、皆さんの努力は非常に貴重なものであり、ここまで来るために皆さんがしてくださったすべてのことに感謝しています」と述べています。

そんな中、2026年2月には「議会予算における多くの研究機関への資金提供が、少なくとも部分的には回復した」という知らせが届きました。しかし、確かに議会は政府機関への予算を大幅に回復させたものの、従来のようには資金がMITに流れ込んでいないとコーンブルース氏は主張。一部の連邦政府機関は、資金配分を科学的功績のみに基づいて行うのではなく、地理的要因を考慮に入れる可能性について議論しているそうです。

資金調達の困難により、すでにMITの連邦政府助成金による研究活動は20%以上も減少しています。政府以外からの研究資金提供は増加しているものの、連邦政府からの資金減少を相殺するほどではなく、連邦政府とそれ以外の資金源を合わせたMITの研究活動は、1年前と比べて10%も減少したとのこと。コーンブルース氏は、「これは世界で最も影響力があり、生産性の高い研究コミュニティのひとつにとって、非常に大きな損失です」と述べました。


MITは単に科学研究を行うだけでなく、研究者の人材育成にも力を入れてきました。しかしコーンブルース氏は、連邦政府の政策変更によって優秀な留学生や研究者がMITに入ることが阻害されていると主張しています。

連邦政府による課税強化や予算配分の減少に直面している各研究室は、新たな大学院生の受け入れに消極的になっているとのこと。連邦政府からの助成金が減り続ければ、研究責任者が学生の研究を支援するための資金を確保できなくなるため、受け入れる大学院生を減らすのは当然のことです。

ビジネススクールであるMITスローン経営大学院とEECS MEngプログラム(電気工学・コンピュータサイエンス学科の修士課程)を除くと、来年度の新規入学者は2024年と比較して約20%減少する見込みです。EECS MEngプログラムは記事作成時点で選考中のため、選考が終われば他の学科と同様の入学者減少が生じるものと思われます。コーンブルース氏はビジネススクールを除く全体で、MITの大学院生が約500人減る可能性があると説明しています。

コーンブルース氏は、「これはMITの研究を進める学生の数が大幅に減るとともに、学部生が指導を受ける大学院生の数も減ることを意味します。しかし私にとって何よりも深刻な影響は、数百人もの非常に才能のある若者がMITでの教育を受ける機会を失ってしまうこと、そして私たちが彼らの創造的な才能の恩恵を受けられなくなることです」と述べています。

MITは連邦政府の資金不足に苦しんでいる団体を支援する計画を進めていますが、これは長期的な解決策にはなりません。コーンブルース氏は、「率直に言ってこれは国家にとって損失です。基礎的な発見研究のパイプラインを縮小すれば、将来のソリューション・イノベーション・治療法の流れが途絶え、将来の科学者の供給も減少してしまうからです」と述べ、大学の予算不足や人材育成の欠如がアメリカにも打撃を与えると警告しました。


これらの問題に対処するため、MITは以下のような取り組みを進めています。

・エネルギー省の新たなミッションに向けて176件の助成金申請書を提出するなど、連邦政府の需要に対応した助成金申請を増やす。
・IBMと共同でMIT-IBMコンピューティング研究室を立ち上げるなど、産業界からの資金調達を開拓する。
・MITの使命に合致する教育プログラムを通じて新たな収入源を模索する。
・リソース開発チームのリーダーを刷新し、慈善活動を通じて資金を集める方法を検討する。

コーンブルース氏は、「MITのワシントン事務所は超党派で精力的に活動し、大学基金への課税がMITや数校の同等レベルの大学に与えている損害について、人々の意識を高めるよう努めています」「そして私は、MITが国家にとってどれほど価値のある存在であるかを訴えるため、議会や政権の指導者たちと頻繁に会合を開いています。皆さんがここにいて、私たちの使命を実現するために尽力してくださっていることを知っているからこそ、私は自信を持ってこの仕事に取り組むことができます」と述べました。

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in メモ, Posted by log1h_ik

You can read the machine translated English article The president of MIT described the criti….