ロケット開発ベンチャーのSpinLaunchが試作機打ち上げに成功、運動エネルギーを利用した独自の発射システムを採用
宇宙船の軌道打ち上げの方法を探ってきたベンチャー企業・SpinLaunchが、ニューメキシコ州での試作機の打ち上げテストに成功しました。通常、宇宙船といえばブースターで打ち上げる方法が採られますが、SpinLaunchは代替方法として、運動エネルギーを利用した他で見たことのない方法を用いています。
SpinLaunch
https://www.spinlaunch.com/
SpinLaunch completes first test flight of alternative rocket
https://www.cnbc.com/2021/11/09/spinlaunch-completes-first-test-flight-of-alternative-rocket.html
打ち上げムービーは公式サイトの「Suborbital Accelerator」のページで見られます。同じものを、CNBC記者のマイケル・シーツ氏がTwitterで公開しています。
SpinLaunch CEO Jonathan Yaney:
— Michael Sheetz (@thesheetztweetz) November 9, 2021
“This is about building a company and a space launch system that is going to enter into the commercial markets with a very high cadence and launch at the lowest cost in the industry."https://t.co/EMscWseHFF pic.twitter.com/mka3jf0pnF
テストは2021年10月22日に行われました。ニューメキシコ州にある商用宇宙港スペースポート・アメリカにあるSpinLaunchの打ち上げ施設の遠景はこんな感じ。
打ち上げに臨むスタッフたち。
施設は数字の「6」のような形をしていて、筒状になっている部分の先のフタが開いています。これは「弾道加速器」。
スタッフがボタンを押すと……
巨大な板が回転を開始。仕組みは遠心分離器と同じようなものです。
見守るスタッフたち。
やがて、先ほどの筒の先からぱっとなにかが飛び出しました。
あっという間に影も見えなくなってしまいます。
スローで見ると、ロケットの先端が膜を突き破って出現。
そのまますごい勢いで飛んでいきました。これは真空シールを突き破ってロケットが打ち上げられているところで、ロケットの速度は音速の数倍だとのこと。
通常の打ち上げであればロケットの軌跡が見えるのですが、SpinLaunchの方式だと軌跡はまったく見えません。
SpinLaunchは、ジョナサン・ヤニーCEOが2014年に創業した企業で、低コストでのロケット打ち上げを目指してきました。今後6~8カ月の間に、さらに30回程度の弾道テスト飛行を実施する予定だとのことです。
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