心疾患のリスクが最も低い理想的な就寝時間とは?
突然死の大半を占めるという心疾患は、がんに次いで死亡率の高い病気といわれています。そんな心疾患について新たに「22~23時に就寝するとリスクが最も低くなる」という研究結果が発表されました。
Accelerometer-derived sleep onset timing and cardiovascular disease incidence: a UK Biobank cohort study | European Heart Journal - Digital Health | Oxford Academic
https://academic.oup.com/ehjdh/advance-article/doi/10.1093/ehjdh/ztab088/6423198
Bedtime linked with heart health
https://www.escardio.org/The-ESC/Press-Office/Press-releases/Bedtime-linked-with-heart-health
Giant Study Identifies The Best Time to Fall Asleep to Lower Risk of Heart Problems
https://www.sciencealert.com/huge-accelerometer-study-suggests-the-best-sleep-time-for-heart-health
新たに心臓病と就寝時間の関係についての調査結果を発表したのは、デジタルヘルスケア企業のHuma.AIに所属するShahram Nikbakhtian氏らです。Nikbakhtian氏らはイギリスの長期大規模バイオバンク研究であるUKバイオバンクで実施された追跡調査から8万8026人分のデータを抽出し、「心臓病のリスクを最も下げる就寝時刻」を割り出しました。
UKバイオバンクの実施した追跡調査は、実験開始時にリストバンドタイプの加速度計から得られた就寝時刻・起床時刻と人口統計・ライフスタイル・健康および身体的評価に関するアンケート結果を回収し、その後5.7年間にわたって心臓発作・心不全・慢性的な虚血性心臓病・脳卒中・一過性脳虚血発作などの各種病状を追跡調査するというもの。実験終了時点で全体の3.6%に相当する3172人の被験者が心血管疾患を発症しましたが、就寝時刻が22時以前の被験者の場合は発症率が3.82%、22~23時の場合は2.79%、23~24時の場合は3.33%、24時以降の場合は4.32%と、就寝時刻によって心血管疾患の発症率に大きな差が生じることが確認されました。
この調査結果は、年齢・性別・睡眠時間・早起きまたは夜更かし・喫煙状況・体重・糖尿病の有無・血圧・コレステロール値・社会経済的状況などの各種変数を考慮に入れた場合でも有意だったとのこと。また、心血管疾患に対する就寝時刻の影響は女性の場合に特に顕著でしたが、その原因はわかっていません。
こうした研究では「飲酒やストレスなどが心血管疾患の増加させ、同時に就寝時刻を遅くしている」といったケースが考えられるため、今回の研究結果は心血管疾患と就寝時間の因果関係を立証したわけではありません。研究チームのDavid Plans博士は今回の結果について「就寝のタイミングは、他のリスク因子や睡眠の特徴とは無関係に、潜在的な心血管リスク因子として特筆すべき存在です。今回の結果が他の研究でも確認されれば、就寝のタイミングと基本的な睡眠衛生は、心臓病のリスクを低下させるための低コストな公衆衛生上の目標となり得るでしょう」と述べています。
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