サイエンス

月経不順が早死リスクと関連するという初の科学的証拠が示される


アメリカで暮らす看護師約8万人を対象とした24年にわたる調査から、月経不順と早死を関連付ける証拠が初めて示されました。思春期および成人期を通して生理不順や生理周期の長期化を経験した人は70歳までに死亡する確率が高いとのこと。この関連性は心血管系疾患やガンに関連する死の場合に、顕著に見られました。

Menstrual cycle regularity and length across the reproductive lifespan and risk of premature mortality: prospective cohort study | The BMJ
https://www.bmj.com/content/371/bmj.m3464

Irregular Menstruation Was Just Linked to Early Death. Here's Why That's Important
https://www.sciencealert.com/large-study-suggests-irregular-periods-are-a-potential-sign-of-early-death

月経は体温、脈拍、呼吸、血圧に続く「第5のバイタルサイン」と呼ばれることがあり、生殖器疾患・心疾患・ガン・精神疾患といった病気と密接に関わっています。これは、生理不順が必ずしも特定の病気の原因となるという意味ではなく、生理不順が健康状態の悪化の影響を受けやすいということ。このため、「生理不順が早死と関連している」という調査結果は驚くべきものとはいえませんが、にもかかわらず、診察の際に患者の月経周期について尋ねられることは少ないといわれています。

研究結果を受けてキングス・カレッジ・ロンドンの生殖生理学者であるキム・ヨナス氏は、「うまくいけば、この研究によって不規則な月経周期に対する意識を高め、医師と女性患者の両方が健康を評価する時に月経周期について考慮するよう促せるかもしれません」と述べています。


1989年に開始されたこの調査はアメリカで暮らす25~42歳の看護師8万人を対象に行われました。研究者は被験者に対して2年ごとに手紙やメールをを送り、ライフスタイル・食生活・医療履歴・疾患の有無などを尋ねました。1989年の初回調査では、看護師は14~17歳の時期と18~22歳の時期の月経の状態を思い出すように促されたとのこと。その後1993年の調査では、同じ被験者に対して、今度は1993年時点の月経周期について尋ねたそうです。この時の被験者の年齢は29~46歳でした。

通常、月経周期は26~30日ですが、高齢になった時に月経周期が40日以上だった人は、そうでない人に比べて早死のリスクが高かったと調査結果では示されました。特に、思春期から月経不順が続く人、そして喫煙者においてリスクが高くなったと研究者は記しています。体重・年齢・ライフスタイル・家族の病歴といった要素を考慮しても、研究結果は変わらなかったとのこと。

エディンバラ大学の研究員であるジャクリーン・メイビン氏は「重要なのは、月経不順が病気そのものではなく症状であると覚えておくことです。つまり、不規則な月経の下にある特定の原因が不規則な出血だけでなく早死のリスクを増加させているのです」と述べています。


ただし、この調査は白人の女性看護師を対象としており、労働時間が不規則であることが長期的な健康状態に影響を与えた可能性も考えられます。不規則な月経と早死の関連性を明らかにするにはさらなる調査が必要ですが、月経に関してはランダム化実験が困難であるため、今回の研究は月経周期の長期的な健康への影響を理解するための非常に価値が高い証拠だと評価されています。

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in サイエンス, Posted by darkhorse_log

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