新型コロナウイルスの「ワクチンパッチ」が動物実験で有効性を示す
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)が猛威を振るう中で患者に痛みを感じさせないワクチン接種方法の開発が進められており、今回オーストラリアの研究者らが皮膚に貼り付けてワクチンを体内に届ける「ワクチンパッチ」のマウスでの実験を終えたと報告しました。
Complete protection by a single-dose skin patch–delivered SARS-CoV-2 spike vaccine
https://www.science.org/doi/10.1126/sciadv.abj8065
Needle-Free Vaccine Patches Are Just a Matter of Time Now, Latest Results Indicate
https://www.sciencealert.com/new-mouse-study-suggests-needle-free-vaccine-patch-should-be-coming-very-soon
クイーンズランド大学のクリストファー・マクミラン氏らが使用したワクチンパッチは、Vaxxasが開発した以下のようなもの。1cm四方のパッチの表面に、長さ250マイクロメートルの突起が5000個敷き詰められています。表面に塗布されたワクチンが、パッチを皮膚に貼ることで体内へ送りこまれます。
マクミラン氏らがこのパッチと注射器を使った対照実験をマウスで行ったところ、生産される中和抗体の量についてパッチが注射器を上回り、パッチの方がより効果的であることが分かったとのこと。
このことについて、マクミラン氏らは「通常の新型コロナウイルスワクチンが接種される筋肉組織には、薬物に反応する免疫細胞があまり含まれていないという点が理由として考えられます。また、パッチに付けられた突起が局所的な皮膚細胞の破壊を引き起こしたため、体の免疫応答が強化されたという可能性も考えられます」と述べました。
マクミラン氏らは、今回使用したパッチについては物流の面でも利点があると指摘。モデルナやファイザーのワクチンは室温で安定するのは数時間ですが、今回のパッチは40度で1週間、25度で少なくとも30日間安定するとのこと。このことから、特に保管設備が整っていない発展途上国にとって大きな利点になるとマクミラン氏らは述べています。
・関連記事
新型コロナのワクチン接種者の中でも「感染経験者」は接種2回目から6カ月後の抗体価が56%も多いという研究結果 - GIGAZINE
新型コロナウイルスワクチンはどのように作られているのか? - GIGAZINE
ナノテクノロジーで注射から針の痛みを取り去ってくれる「ナノパッチ」 - GIGAZINE
・関連コンテンツ