サイエンス

高さによる時間の進み方の違いが「数mm」の精度で観測される


一般相対性理論では、周囲に重い物体があると時間の流れが変わるということが示されています。地球という重い物体から遠ざかるほど時間が早く進むということは、高精度な原子時計と東京スカイツリーを利用した実験で「数cm」の精度で観測されていますが、コロラド大学の研究チームが主導した新たな研究により、「数mm」の精度での時間の進み方の違いが観測されました。

[2109.12238] Resolving the gravitational redshift within a millimeter atomic sample
https://arxiv.org/abs/2109.12238


General relativity's time dilation was captured across a millimeter | Science News
https://www.sciencenews.org/article/atomic-clock-general-relativity-time-warp-millimeter-physics

An Atomic Clock Promises Link Between Quantum World and Gravity | Quanta Magazine
https://www.quantamagazine.org/an-atomic-clock-promises-link-between-quantum-world-and-gravity-20211025/

コロラド大学の研究チームは、10万個のストロンチウム原子で構成された原子時計を測定に使用。レーザー光で形成された光格子内に設置されたストロンチウム原子のエネルギーの状態を観測し、高度による時間の進み方の違いを測定しました。

約90時間にわたるデータを解析した結果、1mmの高さの違いが、10京分の1%の時間の進み方の違いを生むと判明。科学雑誌のScience Newsは「これは一般相対性理論によって予想される値であり、これまでに実行された中で最も正確な記録だ」と評しています。


今回の研究をまとめた論文は査読前の段階であるため、研究者らはコメントを控えたとのこと。今回の実験は、原子時計の測定精度が近年著しい進歩を遂げている点でも注目を集めたとのことで、研究に参加していないニューサウスウェールズ大学の理論物理学者ビクター・フランバウム氏は「暗黒物質の探索に使用できる可能性も出てきたほど、近年の原子時計の測定精度は非常に正確です」と述べています。

この記事のタイトルとURLをコピーする

・関連記事
「超高精度な原子時計を実験室の外に持ち出して地面の標高差を測定する」という実験が行われている - GIGAZINE

「世界で最も正確な原子時計」を作る研究者に話を聞いたムービーが公開中 - GIGAZINE

相対性理論の「時間の遅れ」はたった30cmの高さでも発生する - GIGAZINE

うるう秒「8時59分60秒」を挿入するまさにその瞬間を明石市立天文科学館で目撃した現地レポート - GIGAZINE

in サイエンス, Posted by log1p_kr

You can read the machine translated English article here.