マルウェアに固有の電磁波を検出して攻撃を防ぐシステムが開発される
運転が自動化された航空機や自動車には「攻撃者に悪意のある変更を加えられた場合、重大な事故につながる」というリスクが存在します。そんな「悪意のある変更」をハードウェアから発せられる電磁波をスキャンして検知するシステムが開発されました。
System Sniffs Out Trojans in Electromagnetic Emissions
https://spectrum.ieee.org/hardware-trojan/
2020年1月に、イラン軍がウクライナの民間航空機を軍用機と誤認して撃墜する事件が発生しました。電気情報工学の専門誌・IEEE Spectrumは、自動化された兵器のシステムに悪意のある変更が加えられた場合、同様の事件が引き起こされる可能性があると指摘しています。このような状況を防ぐべく、アメリカ国防高等研究計画局(DARPA)はハードウェアに対するトロイの木馬による攻撃防止プロジェクト「SHEATH(Safeguards against Hidden Effects and Anomalous Trojans in Hardware)」を展開。その結果、ハードウェアから発せられる電磁波をスキャンして悪意のある変更を検知するAIシステムが開発されました。
以下の4つの画像は検出対象のハードウェアから発せられる電磁波のスペクトラムを示しており、右上の「Clean Application」は通常のハードウェア、「V1~V3」は悪意ある変更を加えられたハードウェアのものです。今回開発されたシステムはこのような「悪意ある変更を加えられたハードウェアに特有の電磁波」を検出できるように学習されており、その検出精度は98.87%とされています。
システムの開発に参加した企業であるAether Argusは、システムの製品化に取り組んでいます。また、同じく開発に参加したジョージア工科大学のAngelos Keromytis教授によると、今回開発されたシステムの改変検出能力は兵器だけでなく5Gインフラストラクチャの防御などにも役立つとのことです。
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