「5900億円分のビットコイン取引がランサムウェアに関連」とアメリカ財務省が報告
マネーロンダリング関連の捜査を専門とするアメリカ財務省の金融犯罪捜査部(FinCEN)が「過去10年間に疑わしいと報告された約52億ドル(5900億円)分のビットコイン取引がランサムウェアに関連していた」と報告しました。
Financial Trend Analysis
(PDFファイル)https://www.fincen.gov/sites/default/files/shared/Financial%20Trend%20Analysis_Ransomeware%20508%20FINAL.pdf
US links $5.2 billion worth of Bitcoin transactions to ransomware
https://www.bleepingcomputer.com/news/security/us-links-52-billion-worth-of-bitcoin-transactions-to-ransomware/
US Treasury said it tied $5.2 billion in BTC transactions to ransomware payments - The Record by Recorded Future
https://therecord.media/treasury-said-it-tied-5-2-billion-in-btc-transactions-to-ransomware-payments/
FinCENが新たに発表した報告書によると、2011年1月1日から2021年6月30日までのおよそ10年半に及ぶ期間の中で、アメリカの金融機関から「疑わしい活動」として報告された取引は計2184件に及んだとのこと。そしてFinCENがこれらの取引を分析したところ、177個のウォレットが特定されました。
この177個のウォレットに関連付けられたトランザクションのブロックチェーン分析の結果、ランサムウェアの支払いに関係していた疑いのあるビットコイントランザクションは総額およそ52億ドルにのぼることが判明しました。これらの被害額は、1カ月あたりの平均が6640万ドル(約75億8000万円)、中央値が4500万ドル(約51億4000万円)に上ります。
また、FinCENはランサムウェアの活性化についても言及しています。2021年上半期に報告された疑わしい活動は635件で、上半期終了時点で2020年の総報告数である487件を大幅に上回る発生件数で、被害総額についても2021年上半期は1カ月あたり平均1億230万ドル(約1170億円)と増加傾向を見せています。
2021年上半期に最も猛威を振るったランサムウェアはREvil(Sodinokibi)、Conti、DarkSide、Avaddon、Phobosなど。また、ランサムウェアを活用したマネーロンダリングには、「Moneroなどの匿名性の高い暗号資産を活用する」「セキュリティ会社によるトランザクションの追跡を避けるために同一ウォレットの使い回しを避ける」「追跡可能な暗号資産を追跡困難なプライバシーコインに変換するチェーンホッピング技術を利用する」「中央集権型取引所で引出を行う」といった手口の洗練がみられました。
バイデン政権はランサムウェアへの対策強化に乗り出しており、直近では日本やヨーロッパなどの30カ国とともに共同声明を発表。アメリカ財務省も「政府全体として対ランサムウェアキャンペーンを継続します」という公式声明を発表し、ランサムウェア取引を支援する仮想通貨取引所に対する制裁を行うと明かしています。
身代金要求型サイバー攻撃、中国・ロシア念頭に30か国が共同声明「安全保障上の脅威」 : 国際 : ニュース : 読売新聞オンライン
https://www.yomiuri.co.jp/world/20211015-OYT1T50072/
・関連記事
10億円規模の報奨金プログラムでアメリカ政府がランサムウェア被害拡大阻止を目指す - GIGAZINE
2020年だけで7300億円分のランサムウェア被害が学校や教育機関にもたらされた - GIGAZINE
ランサムウェアの開発者が語るサイバー犯罪の現状や攻撃対象の選択方法とは? - GIGAZINE
ランサムウェア攻撃を受けた医療機関は患者の死亡率が上昇しケアが遅れるとするレポートが公開 - GIGAZINE
・関連コンテンツ