メモ

写真撮影やイラスト作成時に発生しがちなモアレを効果的に除去する方法とは?


撮影した写真やスキャンした画像、SNSにアップロードしたイラストなどに、本来は存在しないはずの模様「モアレ」が発生する現象に遭遇したことがある人も多いはず。このモアレの発生要因や対策方法について、デザイナーやライターとして活動するマーティン・ウィハリー氏が解説しています。

Moiré no more | Revue
https://www.getrevue.co/profile/shift-happens/issues/moire-no-more-688319

モアレとは、フェンスや鉄格子などの規則的な模様をカメラで撮影する際に発生する模様のことです。例えば、以下のフェンスの写真では、実際には存在しないシマ模様が現れています。


また、以下の白いスクリーンを撮影した写真では、実際には存在しない赤や緑の模様が現れてしまっています。また、写真撮影だけでなく、スクリーントーンを用いたイラストを描く際にも、モアレが発生することが知られています。


ウィハリー氏によると、モアレは2つの似たパターンの模様が重なり合わさる際にできる複合パターンによって生じるとのこと。モアレは、デザインの一部として取り入れられることもありますが、一般的な状況ではモアレの発生は避けるべきだとウィハリー氏は述べています。


ウィハリー氏は、古い本や新聞記事に含まれる写真をデジタルデータとして保存する作業を行っている際に、モアレが発生する現象に悩まされました。例えば、以下のモノクロ写真をスキャナーでスキャンすると……


こんな感じに、実際には存在しないドットのような模様が現れてしまいます。また、スキャンした写真を縮小すると、倍率に応じて異なる模様が現れてしまいます。以下の写真をクリックすると、実際に縮小した際に異なる模様が現れる様子を確認できます。


ウィハリー氏によると、このモアレは元の写真が本や新聞に印刷される際に小さな白黒のドットの集合に変換されていることが原因だと指摘しています。そこで、ウィハリー氏は本や新聞をアーカイブする際に、印刷された写真をスキャンするのではなく、オリジナルの写真を入手してアーカイブすることにしました。


しかし、全ての写真のオリジナルを入手できるわけではなく、古い写真や撮影者が不明な写真では印刷された写真をアーカイブするしかありません。そこで、ウィハリー氏はモアレが発生したスキャンデータに画像加工処理を加えてモアレを消すことにしました。

まず、ウィハリー氏はモアレ除去の方法として広く知られている「ぼかし処理を加える」という方法を試しました。しかし、この方法ではモアレ以外の情報も消えてしまいます。


そこで、ウィハリー氏はSNSを通じてモアレ除去の方法を募りました。当初、ウィハリー氏は機械学習などの複雑なコンピューター処理が必要になると考えていたとのこと。しかし、写真家で神経科学者でもあるブライアン・ウィリアム・ジョーンズ氏から「機械学習は必要ありません。必要なのは高速フーリエ変換です」という返事を受け取りました。

高速フーリエ変換は、簡単に言えば「異なる周波数が重なった波を周波数ごとに分離する方法」のことで、身近な例としては、オーディオ再生時に周波数ごとに出力を調整するイコライザなどで用いられています。ウィハリー氏によると写真を一種の波形として表すと、モアレは周期性を持つ波として示すことが可能とのこと。そこで、ウィハリー氏は「高速フーリエ変換を用いて写真の持つ波形からモアレの部分を分離し、それを削除することでモアレを除去する」という方法を用いることにしました。

実際にウィハリー氏が画像処理ソフトウェア・Fijiを用いて問題の写真(左)に高速フーリエ変換を施したところ、規則的な白い模様(右)が得られました。


ウィハリー氏は、高速フーリエ変換によって得られた白い模様を削除して、逆フーリエ変換を実行し、モアレの除去に成功しました。以下の画像ではスライダーを左右に動かすことでスキャン直後(左)とモアレ除去後(右)の違いを見比べられます。


ぼかし処理によってモアレを除去した写真(左)と、高速フーリエ変換を用いてモアレを除去した写真(右)を見比べると、荷台に積まれた荷物や車体の後部に記された文字などが高速フーリエ変換を用いた方が鮮明に再現できていることが分かります。


ウィハリー氏は、高速フーリエ変換を用いたモアレ除去法を用いて、自著の執筆作業を進めていくと述べています。

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in メモ, Posted by log1o_hf

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