AIが「ゴルフ」をプレイと運営の両面で変革している

AIの登場は娯楽やビジネスのさまざまな領域に変化をもたらしており、その波はドレスコードやスマートフォンの使用についてのルールがある「ゴルフ」にも及んでいると、経済紙のウォール・ストリート・ジャーナルが報じました。
How AI Is Changing Golf for Players and on the Course - WSJ
https://www.wsj.com/sports/golf/ai-in-golf-technology-impact-4122d0e1
ウォール・ストリート・ジャーナルは、「ゴルフほど伝統に縛られたスポーツは想像しがたいものです。多くのゴルフコースやクラブにはスマートフォンの使用について厳しい規則が設けられており、靴下やズボンの丈まで規定されています。ゴルファー自らが複雑なルールブックを順守することを期待しているのです」と述べています。
しかし、近年のゴルフ界ではさまざまな面でAIの活用が進んでおり、そのひとつがゴルフ場の予約です。以前からゴルファーはオンラインでゴルフ場の予約ができましたが、AIによって「10時~11時のスタート」「移動はカートではなく徒歩」「4時間半でラウンドを終えたい」「合計予算を1000ドル(約16万円)に抑えたい」といった細かい要望を把握し、適切な情報を提供できるバーチャルアシスタントの導入が可能となります。
ジョージア州にあるゴルフ場サービスを専門とするソフトウェア企業のTagmarshalは、同社のシステムはユーザーの要望を満たすゴルフ場の場所や日時を提案できるほか、ハンディキャップに基づいてラウンド終了までの時間を予測できるとのこと。この予測はTagmarshalが900以上のゴルフ場で収集した9500万件のデータに基づいているそうです。
こうした技術革新の恩恵を受けるのはゴルファーだけではありません。ゴルフ場もAIを通じて予約を受け付けることにより、氏名・住所・メールアドレス・電話番号・支払い方法・過去の予約履歴といったユーザー情報を収集し、顧客層の把握に役立てることが可能。また、予約に空きが出た場合はAIがウェイティングリストに登録しているゴルファーに連絡し、格安オファーを提案するなどしてゴルフ場をフルに活用することもできます。

さらにAIは、ゴルファーのプレイを向上させるパーソナルインストラクターやキャディを兼ねた役割を担うようになっています。すでにゴルフボールの打ち出し速度と軌道を計測し、スイングの各部分を分析し、ボールが着地する可能性がある地点をマッピングするツールなども登場しています。
フロリダ州のゴルフ関連企業・Performance Golfが開発したゴルフアプリの「PG1」は、スマートフォンのカメラを使ってゴルファーのスイングを記録し、AIがゴルファーの体形に合わせたスイングのヒントや、パフォーマンス向上に役立つ練習メニューなどを生成してくれます。たとえば「ボールの軌道が低くて左に曲がりがち」といった欠点がある場合、PG1はダウンスイングの際に肘を体から離すようにアドバイスしたり、数カ月にわたる具体的な練習メニューを作ったりしてくれるとのこと。
さらにコネチカット州に拠点を置くArccos Golfは、まるでバーチャルキャディのように各ショットに最適なクラブや着地地点を提案してくれるシステムを提供しています。Arccos Golfは2012年に「ゴルフクラブに取り付けて飛距離を計測する小型センサー」の販売を開始し、10年以上にわたり自社センサーが収集した15億回ものショットデータを使ってAIをトレーニングしたそうです。

AIはゴルファーの満足度を向上させ、ゴルフ場の収益を増やすためにも役立てられています。ゴルファーの満足度は「18ホールを回るのにどれほどの時間がかかったか」といった要素に加え、「途中でどれくらい待ち時間や中断が発生したか」といった点にも左右されます。同じゴルフ場を複数組が利用する場合、たびたび「前の組が次のホールに移るまで待つ」といった時間が生じます。こうした待ち時間が少ないとゴルファーは「スムーズに進行できた」と感じ、より満足度が高くなります。
スムーズなラウンドを実現するために、AIは「過去のラウンドタイム」「ゴルファーに関する統計データ」「前後の予約者のハンディキャップ」「当日の天候」といったデータを分析し、各組がどれほどのスピードで進行するのかを予測することが可能です。たとえば前の組が「過去に同じラウンドを回ったことがなく、ハンディキャップの大きいグループ」である場合、AIは管理者に「ラウンドを回るのが予定より遅くなるかもしれない」というシグナルを発信できます。
ノースカロライナ州のゴルフ場であるパインハースト・リゾートでゴルフ担当副社長を務めるマット・バークスデール氏は、「私たちはボトルネックとなる箇所を常に監視しています。理想的には、ボトルネックが発生する可能性のある場所を予測し、ティーの位置を前後に移動したり、ホールの位置をより問題のない場所に移動したりするなど、コースを日々調整したいのです」とコメントしました。
実際にパインハースト・リゾートではラウンドにかかる時間が各組ごとに綿密に追跡され、細かい調整が行われているとのこと。プレイの進行状況を正確に把握するため、すべてのキャディやゴルフカートにGPSトラッカーが装備されており、データベースに記録しています。もしプレイが遅延し始めた場合は、ゴルファーをより的確に誘導できる場所に案内スタッフを配置し、プレイのスムーズさを維持できるように努めるとのこと。

AIはプレイ時間のスピードアップだけでなく、ゴルフコースの適切な維持管理にも役立てられています。インディアナ州のゴルフ場で芝生のメンテナンスを担当するブレント・ダウンズ氏は、「ロボット芝刈り機のプログラミング」「気象データや灌漑データの分析」「ゴルフコース改修案を実施した場合のイメージ図の作成」などにAIを活用しています。
ダウンズ氏の目的は、ゴルフコースを最高の状態に保つための労働時間とコストを削減するとともに、芝の病気が発生する可能性を予測するなどして、問題を未然に防ぐことにあります。「20分だろうと2時間だろうと、時間を節約できるものなら何でもタスクを削減し、中核となる業務に集中できるようになります」とダウンズ氏は述べています。
ウォール・ストリート・ジャーナルは、「もちろん、ゴルフはそもそも保守的なスポーツであり、一部のゴルフコースはAIの導入に時間がかかるでしょう。しかし、新世代のプレーヤーやコース管理者はスマートフォンを手に育ってきた世代であり、彼らはデータ主導の世界に慣れています。そのため、ズボンの丈や靴下の色といったルールは依然としてゴルフの重要な要素かもしれませんが、プレイの仕方やコースの運営方法は、間もなくアルゴリズムによって形作られるようになるでしょう」と述べました。
・関連記事
AIはアスリートの「ケガ防止」や「パフォーマンス向上」にどうやって役立てられているのか? - GIGAZINE
AIや機械学習などのテクノロジーによってクリケットはどう進化したのか? - GIGAZINE
「ゴルフ場の近くに住む人はパーキンソン病のリスクが高い」と報告されるが疑念の声も上がる - GIGAZINE
超音速でゴルフボール大の鉛球が頭に当たるとどうなるのかを8万2000fpsのスローモーション映像で検証 - GIGAZINE
ゴルフボールの進化によってショットの平均飛距離が大きく増加している - GIGAZINE
謎のゴルフクラブを操る達人が魅せるトリックショットのムービーが公開中 - GIGAZINE
ロケットのパワーでゴルフクラブをフルスイングしたらどうなるのかを元NASAエンジニアが実験 - GIGAZINE
・関連コンテンツ
in AI, Posted by log1h_ik
You can read the machine translated English article AI is transforming golf in both its game….







