ウィリアム・ギブスンの「ニューロマンサー」で言及された「サイバースペース」という用語が第三者に商標登録されギブスンが報復したという話は本当なのか

著名SF作家のウィリアム・ギブスン氏は、1984年の長編小説「ニューロマンサー」で「サイバースペース(電脳空間)」という概念を広めました。当時画期的だったこの用語を、アメリカのソフトウェア開発企業であるAutodeskが商標登録し、報復としてギブスン氏が「エリック・グリクセン」という個人名を商標登録しようとしたというウワサがテクノロジー業界には存在します。このウワサの真実について、本物のエリック・グリクセン氏が解説しました。
William Gibson and the trademarking of Cyberspace™
https://colo.to/cyberspace.html
グリクセン氏はソフトウェアエンジニアで、1980年代にAutodeskで勤務していました。そこで開発していたVRシステムの製品化が現実味を帯びるにつれ、Autodeskが「サイバースペース(cyberspace)」の商標登録を申請した、というのは事実だそうです。
ところが、これを知ったギブスン氏は非常に腹を立てたといいます。同僚のティモシー・リアリー氏からこのことを聞いたグリクセン氏は和解を意図した手紙を書き、ギブスン氏に送付しました。ただ、ギブスン氏の著作から「The street finds its own use for things.」という言葉を引用し、少々皮肉めいた締めくくりにしたということです。これに対し、ギブスン氏は弁護士を通じてAutodeskに書簡を送りました。グリクセン氏は「私の記憶では、私たちはそれを無視しました」と振り返っています。
この出来事に関連し、いたずら好きでギブスン氏のファンでもあったリアリー氏は「ギブスンが報復として『エリック・グリクセン(Eric Gullichsen)』の商標登録を試みている」というウワサを広めたとのこと。その後、電子フロンティア財団の共同創設者で詩人のジョン・ペリー・バーロウ氏がそのウワサを脚色し、さらに後年にSF作家のルーディ・ラッカー氏がその話を広めたことで、ウワサはますます拡大したとのことです。

この手紙から約1年後、グリクセン氏はAutodeskを離れ、VRスタートアップのSense8 Corporationに移っていました。その頃、グリクセン氏やリアリー氏はバルセロナで初開催されたデジタル文化と創造性の祭典「ArtFutura」に招待され、ある高級ホテルのロビーで同じく招待されたギブスン氏に会ったとのこと。ギブスン氏は淡々とした口調で、「The street finds its own use for things.」「Autodesk is not the street.」と語ったといいます。
グリクセン氏は「私の記憶では、ArtFuturaの数多くのパーティーを経て、私たちはこの問題に決着をつけたか、少なくともそれに近い状態になっていました」としています。また、ArtFuturaの一環としてグリクセン氏やリアリー氏、そしてギブスン氏は一緒に公園を訪れ、写真を撮影しました。

グリクセン氏は「AutodeskがCyberspaceの商標登録を申請したのは事実であり、ギブスンが実際に異議を唱えたのも事実です。しかし、ギブスンがエリック・グリクセンの商標登録を試みたという話は、ティモシー・リアリーのいたずらでした。それが広まり続けた結果、いつしか歴史的事実として受け入れられるようになったのです」とまとめました。
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in メモ, Posted by log1p_kr
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