リモートワークを続けるためなら人々は「賃金カットもやむなし」と考えているとの調査結果
パンデミックの影響でリモートワークに切り替えた人の中には、「もう通勤電車に揺られる日々には戻りたくない」と思っている人も多いはず。アメリカの労働者を対象として実施された調査により、リモートワーカーは在宅勤務を続けるためなら賃金カットや有給休暇の返上をいとわないということが分かりました。
To remain remote, employees are ready to give up benefits, PTO, & salary | Breeze
https://www.meetbreeze.com/blog/employees-give-up-benefits-salary-remain-remote/
Return to Work: Americans Willing to Take Pay Cut to Never Go Back to the Office - Bloomberg
https://www.bloomberg.com/news/articles/2021-08-03/return-to-work-americans-willing-to-take-pay-cut-to-never-go-back-to-the-office
新型コロナウイルスのデルタ変異株流行が収束のきざしを見せない中、多くのアメリカ企業がオフィス再開を敢行しようとしています。オフィスに戻りたがらない労働者らに対し、企業はオフィス再開記念パーティーを開いて賞品を配ったり、無料のランチや託児サービス、さらにはヨガ教室まで提供したりと、手を変え品を変え労働者を会社に呼び戻そうとしているとのこと。
そこで、労災保険会社のBreezeは、労働者がどれだけリモートワークを重要視しているのかを調べるため、フルリモートで仕事をしている労働者とフルリモートの仕事を探している求職者、合計1000人に対してオンラインアンケートを実施しました。
その結果、全体の65%の回答者が「リモートワークができるなら5%の減給を受け入れる」と考えていることが分かりました。以下は、左から回答者合計・ベビーブーマー世代・X世代・ミレニアル世代・Z世代ごとの、「減給を受け入れると答えた人(ベージュ)」と「受け入れないと答えた人(黒色)」の割合を示したグラフです。どの世代も一様にリモートワークを重視しており、特に1960年代から1980年代初頭までに生まれたX世代は7割近くが「給料が5%減ってもリモートワークをしたい」と考えているという結果になりました。なお、以下のグラフの上部にある「<」と「>」のボタンを押すと、減給の割合などを変えたほかの質問に対する回答も見ることができます。
給料カットの割合が10%になると、受け入れるかどうかの質問に「はい」と答えた人が「いいえ」と答えた人の割合を下回り、38%となりました。
Breezeはこの結果について、「ベビーブーマー世代が、リモートワークのために福利厚生を犠牲にする可能性が最も低い世代だというのは予想通りでした。この世代の人は、長い間対面式のオフィス文化に慣れ親しんでいるため、リモートワークに順応するのに苦労したかもしれません」と分析しました。
また、この調査結果を取り上げた経済誌・Bloombergは「通勤の費用によっては、給料カットは合理的なトレードオフだと言えます。2020年の調査によると、パンデミック前に自動車通勤していた人は、リモートワークにより平均して約2000ドル(約21万円)節約できていたことが分かっています」と指摘しました。
Breezeは、給料だけでなく有給休暇についても質問しています。その結果、「リモートワークができるなら有給休暇の4分の1を返上しますか?」という設問に「はい」と答えた人は46%、「有給休暇の半分」の場合は23%、「4分の3」の場合は17%、「全部」の場合は15%でした。
履歴書作成サービス・MyPerfectResumeでコミュニティ責任者を務めるジェシカ・ウリョア氏は、Breezeに対し「リモートワークは休暇みたいなものだと勘違いしている人もいますが、それは誤りです。私はリモートワークをしていますが、1日8時間働き、素晴らしい成果を出している社員であることに変わりはありません。仕事中の自由度が増したからといって手を抜くわけではないので、給料がカットされたり、有給休暇を返上したり、その他の福利厚生をあきらめたりするのは公平ではないと考えています」と話しました。
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