メモリの容量を増やすために2枚のメモリモジュールを挿す「2DPC」による速度低下はコンテンツ制作のパフォーマンスに影響を与えるのか?

コンシューマークラスのCPUを搭載したワークステーションを構成する際、メモリ(RAM)の容量と速度のバランスが大きなポイントとなります。メモリ容量を増やすために2つのチャンネルに2枚ずつメモリモジュールを搭載した「2 DIMM per Channel(2DPC)」モードで動作させる場合、サポートされる最大メモリ周波数が低下することが知られています。その周波数低下がクリエイターやシステムビルダーのコンテンツ制作にどの程度影響を与えるかについて、ワシントン州オーバーンに拠点を置くカスタムコンピューター企業のPuget Systemsが検証しています。
Does 2 DIMM per Channel RAM Impact Content Creation Performance? | Puget Systems
https://www.pugetsystems.com/labs/articles/does-2-dimm-per-channel-ram-impact-content-creation-performance/

多くの消費者向けPCは、デュアル・インライン・メモリ・モジュール(DIMM)スロットを4つ搭載していますが、CPU自体は2つのメモリチャンネルしか搭載していません。3つ以上のDIMMを取り付けるために各メモリチャンネルに2枚のDIMMが接続されると「2DPCモード」になり、サポートされる最大メモリ周波数が低下します。
以下は、左がIntelのCore Ultra 200、右がAMDのRyzen 9000を搭載したPCのメモリ速度が、「1DPC周波数(1チャンネル1枚挿し)」と「2DPC周波数(1チャンネル2枚挿し)」でどれくらい違うかを示した表です。いずれも、2DPC周波数に移行することで最大周波数が大幅に低下することが分かります。

要するに、コンシューマー向けCPUを搭載した環境においてもメモリ容量は重要ですが、十分なメモリを確保するために1チャンネルにつきメモリ2枚を挿すことでRAM容量を増やすと、電気的な負荷が増えて速度が下がる可能性があるというトレードオフを抱えています。
この2DPCにしたことによるメモリ速度の低下がどの程度作業に影響するものなのか、Puget SystemsはIntel Core Ultra 9 285KとAMD Ryzen 9 9950X3Dを使って、複数の制作系アプリケーションを対象にテストを実施しました。制作系アプリケーションには「Adobe Photoshop」「Adobe After Effects」「DaVinci Resolve」といったメディア編集ソフトや、ゲームエンジンの「Unreal Engine」、レンダラーの「V-Ray」、Metaの推論AIである「Llama.cpp」などが含まれています。
調査の結果、メディア編集ソフトの場合、2DPCによるパフォーマンスの影響はごくわずかでした。以下は左がAdobe Photoshop、中央がAdobe After Effects、右がDaVinci Resolveの結果で、Intelの場合は1DPCにおける「6400MT/s」というメモリ周波数から2DPCにおける「4400MT/s」という周波数に変わっても、平均パフォーマンスの低下は約2%にとどまりました。Puget Systemsは「これらの結果は1%程度の誤差まで正確であると確信していますが、ユーザーエクスペリエンスの観点では1%程度の差にそれほど大きな影響はありません。これらのメディア編集ソフトカテゴリのアプリケーションを使用するユーザーは、DIMMの増加によるRAM速度の低下を心配する必要はありません」と結論付けています。

次にUnreal Engineのグラフが以下。Unreal Engineはリアルタイム系処理が含まれるため、AMDでは特にメモリ速度依存が強く、2DPC構成の影響が最大で13%のパフォーマンス低下に影響しました。Intelの場合も2DPC構成は1DPC構成と比べて最大8%遅くなるケースが確認され、「リアルタイム系処理をする場合はシステム構成を決定する際に考慮すべき」とPuget Systemsは指摘しています。

CPU負荷がかなり大きいCADやレンダラーの場合、1DPC構成から2DPC構成に移行した場合のパフォーマンス低下は最大でも約5%程度でした。これらのソフトウェアではRAM速度よりもRAM容量の最大化が最重要になるため、2DPC構成にすることはほとんどのユーザーにとって問題にはならないと考えられます。

また、大規模言語モデルのベンチマークを検証したところ、CPU上でネイティブに実行されるAIはどのRAM構成でも差は限定的でした。主にGPUを使用するAIの場合、GPU使用時でもCPU側がデータ供給を行うためメモリ帯域の影響は出ますが、2DPC構成の影響でIntelではトークン生成が最大25%、AMDでは12%遅くなったことが報告されています。
以下は、公式にサポートされている最高速度であるIntelの5600MT/s、AMDの5200MT/sを「100」とした場合に、メモリ構成ごとの速度スコアを表にしたもの。全体的な傾向として、Intel Core UltraはAMD RyzenよりもRAM周波数によるパフォーマンスの影響を受けやすいことがわかりました。

Puget Systemsは「パフォーマンスの影響の大小はCPUや作業内容によって異なりますが、大前提としてメモリ容量が不足するとパフォーマンスが著しく低下します。ユーザーはまず作業に必要なメモリ容量を評価した上で、より大容量なメモリが必要な時にはパフォーマンスの低下率を参照しながら2DPCへの移行を検討する必要があります。基本的には、容量の小さいDIMMを4枚使用するよりも、容量の大きいDIMMを2枚使用する方が効果的だということも重要です」とアドバイスしています。
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in ハードウェア, ソフトウェア, Posted by log1e_dh
You can read the machine translated English article Does the speed reduction caused by '2DPC….







