サイエンス

ブラックホールのジェット噴射を撮影した過去最高解像度の画像が公開される


強い重力を持ち物質や光を吸い込むことで知られるブラックホールですが、一方でジェット噴射を行っていることでも知られています。なぜブラックホールがジェット噴射を行うのかという理由や原因は定かではありませんが、新たな研究ではこの謎を解く手がかかりとなる「ジェット噴射を撮影した過去最高解像度の画像」が公開されました。

Event Horizon Telescope observations of the jet launching and collimation in Centaurus A | Nature Astronomy
https://www.nature.com/articles/s41550-021-01417-w

Look: Scientists imaged an intensely powerful force coming from a black hole
https://www.inverse.com/science/scientists-image-black-hole-jets


新たに発表された画像は、マックスプランク電波天文学研究所の物理学者であるMichael Janssen氏が率いる研究チームによって、イベントホライズンテレスコープ(EHT)を使って撮像されました。EHTは2019年に世界で初めて理論上の存在だったブラックホールの姿を撮像したことで有名です。今回研究チームは地球から12万光年離れた場所にある銀河「ケンタウルス座A」の中心にあるブラックホールの詳細を観察しました。ケンタウルス座Aは、その中心に太陽の5500万倍という質量を持つブラックホールが存在し、強力なプラズマのジェットを噴射していることで知られています。

以下が実際に得られた画像。明るい光が円錐のように伸びているのがわかります。


ブラックホールは一方向にジェットを噴射し、その真逆の方向にもカウンターとなるジェットを噴射します。カウンタージェットの噴射は地球から遠ざかる方向に伸びるため、画像ではあまり捉えることができなかったとのこと。

なお、以下は2019年に史上初めて撮影されたブラックホールの画像。このときは、太陽の65億倍もの質量を持つというブラックホールが存在する銀河「M87」が被写体でした。


研究チームによると、M87とケンタウルスAは質量的に大きく異なりますが、ジェットの形状やその他の特性はほとんど同じであるとのこと。ブラックホールの成長とともにジェットも大きくなると研究チームはみています。

ブラックホールには、「太陽の質量の5~10倍の恒星ブラックホール」と「太陽の数百万倍から数十億倍の超大質量ブラックホール」の2種類があります。ブラックホールは周囲の物体を吸い込んで成長していきますが、このとき高温なガスやちりがブラックホールの中心に落ちると、それがジェットあるいは短いビームという形で、ブラックホールを囲む事象の地平面から発射されます。

このジェットは時に銀河の外側に到達し、ほぼ光速で移動することになりますが、その噴出プロセスは記事作成時点ではっきりしていません。ただ、今回の研究には関わっていないマサチューセッツ工科大学のMatteo Lucchini氏を始めとする研究者は、そのプロセスに「磁場」が関係していると考えているそうです。Lucchini氏はこの仮説を裏付けるべく、今回の研究で撮像された画像を使用して、ブラックホールの物理的状態を再現するコンピューターモデルを作成する予定だと述べています。

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in サイエンス, Posted by darkhorse_log

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