メモ

半導体製造大手Broadcomが1兆円以上の買収交渉をデータ分析ソフト開発のSASに行っていると報じられる


アメリカとシンガポールに拠点を置く半導体製造企業大手「Broadcom」が、AIを用いてマーケティング分析などを行うソフトウェア企業「SAS」の買収に向けて協議していると報じられました。半導体主導のBroadcomは2018年のソフトウェア企業買収で成功を収めており、今回の買収で企業向けソフトウェアの強化を図る狙いがあるものとみられています。

Broadcom in Talks to Buy Software Firm SAS - WSJ
https://www.wsj.com/articles/broadcom-in-talks-to-buy-software-firm-sas-11626103731

Broadcom reported in talks to buy closely held SAS Institute - SiliconANGLE
https://siliconangle.com/2021/07/12/broadcom-reported-talks-buy-closely-held-sas-institute/

Broadcomは1991年創業の上場企業。コンピューターネットワークおよび通信ネットワーク全般をカバーする半導体やIC製品を幅広く手がけるファブレス企業です。Broadcomの主な事業は半導体の製造ですが、新市場に参入するため多数の企業を買収した経歴を持つことでも知られており、2017年には同業のQualcommに対し1000億ドル(約11兆円)以上の買収を試みたことも報じられました。

「あれは未曾有のできごとだった」とQualcommのCEOがBroadcomによる敵対的買収攻撃を振り返る - GIGAZINE


当時シンガポールに本社を置いていたBroadcomは、Qualcommの買収をドナルド・トランプ前大統領に「国家安全保障上の懸念がある」として阻止された後、本社をアメリカに移転。その後アメリカのソフトウェア企業であるCAテクノロジーズを買収してソフトウェアビジネスを拡大しました。Broadcomのソフトウェアは収益全体の約28%を占めており、今回の買収によりソフトウェア部門の強化を図る狙いがあるとみられています。

一方のSASは、1976年創業の非公開会社。年間30億ドル(約3300億円)の売上を誇る統計解析ツールの「Statistical Analysis System」を始め、マーケティングやリスクマネージメントなどの分析ソフトウェアを広く手がけています。

SASは約5200人の従業員に対して手厚い福利厚生を用意していることでも知られ、従業員の離職率は業界平均が20%以上であるのに対し、SASは平均年4%未満であるとのこと。非公開会社としている理由については、SASのジェームズ・グッドナイトCEOが2000年に「企業が株式公開を行う理由の1つは資金調達にあるが、私たちは高い収益を上げており、資金を必要としない。また、四半期ごとに収益予想を満たすというプレッシャーを避けたい」と述べていました


今回の買収において、海外紙のウォール・ストリート・ジャーナルはSASの企業価値を150億ドル(約1兆7000億円)~200億ドル(約2兆2000億円)と評価し、「交渉は今後数週間以内に完了する」と報じています。SASが売却を検討している理由は不明で、調査会社Forrester Researchのアナリストであるマイク・グアルティエーリ氏は「グッドナイトCEOは78歳であり、売却を検討する理由はいくつもある可能性がある」と分析。また、グアルティエーリ氏は「SASが大企業に広く浸透し、高度な分析モデルが絶対的に必要とされていることを考えると、報じられた買収額は非常に妥当に思える」と述べました。

この記事のタイトルとURLをコピーする

・関連記事
なぜアメリカ政府はBroadcomのQualcomm買収を阻止したのか? - GIGAZINE

中国企業傘下の「Nexperia」がイギリス最大の半導体メーカー「Newport Wafer Fab」を買収 - GIGAZINE

NVIDIAによる半導体設計・Armの買収は「非常に悪いアイデア」 - GIGAZINE

急増する半導体需要に対し製造工場はどのように対応しているのか? - GIGAZINE

AMDがアメリカの半導体企業・ザイリンクスを3兆6000億円で買収、データセンター向け事業強化でIntelに対抗か - GIGAZINE

in Posted by log1p_kr

You can read the machine translated English article here.