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Amazonは成績下位6%を解雇する「後悔のない人員削減」を行っている


内部文書により、Amazonが従業員をランク付けし、毎年全体の下位6%に当たる社員に対して「後悔のない人員削減(unregretted attrition)」を行っていることが判明しました。Amazonは否定していますが、これは「スタックランキング」ではないかと指摘されています。

Internal Amazon documents shed light on how company pressures out 6% of office workers | The Seattle Times
https://www.seattletimes.com/business/amazon/internal-amazon-documents-shed-light-on-how-company-pressures-out-6-of-office-workers/

スタックランキングはマネージャーが従業員をランク付けし、上位ランクの従業員には多額のボーナスを与える一方、最低ランクの従業員を解雇することで、中間層がよりよい成績を上げるように動機付けするという仕組みです。かつては多くの企業でスタックランキングが採用されていましたが、「賃金と昇進の差別を生み出し、有害な職場文化を生み出すことで、イノベーションを阻害する」と専門家に指摘され、スタックランキングの生みの親であるGEは2000年代初頭にスタックランキングを廃止。AdobeやMicrosoftといった企業もGEに続いてスタックランキングを廃止しました。


Amazonは2016年に従業員の評価方法をニューヨーク・タイムズに指摘された直後、その評価プロセスを大幅に簡素化したことを発表しました。この中には「後悔のない人員削減」の目標設定をやめることが含まれていましたが、Amazonは2018年までに毎年下位6%の従業員を解雇するという「後悔のない人員削減」を復活させたことが判明しています。

シアトル・タイムズが入手した内部文書であるプレゼンテーションのスライドによると、Amazonは50人以上から構成されるマネージャーチームに対して、従業員の評価を求めていたとのこと。評価は、上位20%の従業員を「トップ層」、下位5%を「最も能力がない」などに割り当てるものでした。そしてAmazonの人事部はマネージャーらに対し、「Ivy」と呼ばれる社内用ダッシュボードを通じて下位従業員に対して「文書化されたコーチング」を行うか、問題を上司に報告することを求めました。「文書化されたコーチング」は一般的に、企業が労働者に訴訟を起こされた場合に、「従業員を支援したこと」を示すための証拠として使われるものをいいます。なお、このスライドには日付がなかったそうですが、スライドが2021年のパフォーマンス評価のタイムラインについて言及していたことから、2020年もしくは2021年初頭のものだとみられています。


シアトル・タイムズによると、スライドはマネージャーに対し、推奨されている評価分布にあわせるために高ランクの従業員を最低ランクに落とすといったような、「公平性と信頼性を損なう不自然な行動」を避けるように指示していたとのこと。また、評価はあくまで業績標準に基づいて行い、対象の従業員を他の従業員と比較して評価すべきでないということも記されていたそうです。

しかし、同時にマネージャーは部下を「自分の役割の責任をどれくらい果たしていたか」について7段階で、「他の従業員と比較した目標達成のポテンシャル」を4段階で評価し、ポイントを28点満点で計算することを求められました。

以下が内部文書のPDFファイル。

Q1 2021 Talent Evaluation Packet - DocumentCloud
(PDFファイル)https://s3.documentcloud.org/documents/20964618/q1-2021-talent-evaluation-packet.pdf


資料内にある以下の図は縦軸がポテンシャル、横軸がパフォーマンスを示し、左3列を「改善が必要」、中間2列を「達成」、右2列を「素晴らしい」としていることがわかります。また色分けによって「最も能力がない(紫)」や「トップ層(青緑)」などもわかるようになっています。


AWSディレクターによると、Amazonのパフォーマンス評価は主にその年の昇給を決定するために使用されるとのこと。このAWSディレクターは、「マネージャーは上記の分布図に正確に従わなくても罰せられない」とは述べていますが、マネージャーが分布図に合わせるために不当な評価を行っていないかというチェックアンドバランスが存在しなかったことも認めています。またシアトル・タイムズはかつてAmazonのマネージャーだった人物から、「会社が掲げる目標に合わせるために部下を『最も能力がない』と評価した」という証言を得ているとのこと。実際にIvyでは、従業員のスコアを調整するとともに、全体のスコア分布がAmazonが示す分布図と一致しているかを確認できるようになっていたとシアトル・タイムズは説明しています。

一方で、Amazonの広報担当者であるJaci Anderson氏は、スライドには既にAmazonが使用していない用語が記載されていることから、スライドが中央の人事チームによって作成されたものではないと述べています。またAnderson氏は「私たちが従業員をスタックランキングで評価したことはありません」と述べ、パフォーマンス評価のプロセスは「Amazonのキャリアの中で成長し続けるための多くの情報と洞察を従業員に提供すること」が目的であると述べました。

しかし、リクルート企業・The Talent Mineの共同創設者であるChris Bloomquist氏は、Amazonの評価システムが「従業員の強みを見つけるのではなく欠点を見つけるもの」であると指摘し、スタックランキングを行っていないというAmazonの主張を「大胆なうそ」だと表現しました。

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in ネットサービス, Posted by darkhorse_log

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