生き物

品種改良が進んだ犬は人間の感情の影響を受けやすいという研究結果


これまでの研究で「飼い主のストレスが飼い犬に伝わる」という結果が示唆されていましたが、新たな研究で「品種改良が進んだ犬は特に飼い主からのストレスを受けやすい」と判明しました。

Long-term stress in dogs is related to the human–dog relationship and personality traits | Scientific Reports
https://www.nature.com/articles/s41598-021-88201-y

Long-term stress in dogs linked to the owner-dog relationship - Linköping University
https://liu.se/en/news-item/hundars-langtidsstress-kopplad-till-relationen-med-agarna

Your Relationship With Your Dog Has a Curious Link to Their Long-Term Stress
https://www.sciencealert.com/here-s-how-the-dog-owner-relationship-affects-long-term-stress-in-pooches

一連の結果を発表したのは、スウェーデン・リンショーピング大学のエルヴァー・テオドルソン教授とリナ・ロス氏の研究チーム。テオドルソン教授らは2019年に「飼い主のストレスが飼い犬に伝わる」という調査結果を発表しました。この調査は、シェットランドシープドッグ33頭とボーダーコリー25頭の計58頭とその飼い主を対象に、ストレスホルモンのコルチゾールを1年間にわたって追跡するものでした。

犬の体毛と飼い主の毛髪から測定したコルチゾールレベルを継続的に測定し続けた結果、飼い主のコルチゾールレベルと飼い犬のコルチゾールレベルの上下は同期していると判明。さらに飼い犬のコルチゾールレベルは犬自身の性格ではなく、「飼い主の性格」により大きな影響を受けることがわかりました。


しかし、テオドルソン教授らによると、この研究には「研究対象となったシェットランドシープドッグとボーダーコリーはいずれも人間の品種改良によって生まれた牧羊犬に属する」という問題があったとのこと。テオドルソン教授らはこの問題について追究するため、遺伝的データからオオカミに近い品種とされているAncient breed(古代種)24頭と狩猟犬種18頭の計42頭で2019年と同様の調査を実施し、飼い犬・飼い主ともにコルチゾールレベルを追跡。さらに2019年の研究からの改善点として、飼い主には自分の性格や犬との関係を調べるアンケートに答えてもらいました。

その結果、狩猟犬種においては「飼い主の性格がストレスレベルに影響を与える」という2019年と同様の結果が確認されましたが、古代種では影響を与えるとは言い切れない結果でした。さらに、アンケートから得られた「犬との関係」に関する回答も両方の犬のストレスレベルに相関がありましたが、やはり古代種の場合は関係性が低かったとのこと。


以上の結果から、テオドルソン教授らは「長期的なストレスは古代種の場合は『飼い主との関係』に最も強く影響されるが、狩猟犬種では『飼い主の性格』と『飼い主の関係』の両方に明確に影響される。また、飼い主と飼い犬のストレス値が同期するという現象は狩猟犬種のみ」と結論づけています。

テオドルソン教授らは、将来的に実験対象とする犬種を増やし、調査年数も数年というスパンに拡大する予定だと語っています。

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in 生き物, Posted by darkhorse_log

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