Amazonも「最悪」と評されるGoogleの新システム「FLoC」をブロックしたことが判明

by Marco Verch

Googleが開発中の「FLoC」と呼ばれるツールは、多くのウェブサービスやウェブサイトから「最悪」と評され、完成前から独占禁止法違反で調査される事態となっています。新たな調査では、AmazonがこのFLoCをプラットフォーム上でブロックしていることが確認されました。

Amazon is blocking Google's FLoC — and that could seriously weaken the system
https://digiday.com/media/amazon-is-blocking-googles-floc-and-that-could-seriously-weaken-the-fledgling-tracking-system/

Googleは2020年に「2年以内にChromeでサードパーティーCookieのサポートを廃止する予定」だと発表しています。サードパーティーCookieは既存のデジタル広告で重要な役割を果たしていることから、GoogleはサードパーティーCookieに代わる新しい広告の仕組みを開発中です。2021年時点で有力なのがFLoCと呼ばれるAPIで、すでにChromeにおいてテストが行われていますが、同時に多くの企業や組織からの反発も受けています。

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すでにWordPressやGitHubがウェブサイトにおいてFLoCをブロックすることを発表していますが、Digidayの分析によると、Amazonもまた、自社サービスのほとんどでFLoCをブロックするためのコードを挿入しているとのこと。

GoogleはFLoCをブロックする方法として、ウェブサイトのHTTPレスポンスヘッダにコードを挿入することを推奨しています。Githubを始めとするウェブサービスでは、この方法を取ることで、ウェブサイトをFLoCの分析対象から外しています。しかし、Amazonは多くのウェブサイトで上記の方法を取っているものの、Whole Foodsのウェブサイトに関してはAmazon analytics requestsからオプトアウトヘッダーを送信するという方法を採用しており、「ただの見落としか、何らかの実験を行っているように見える」と専門家はコメントしています。

GoogleはFLoCを使ってユーザーをコホート(集団)に分類することで、サードパーティーCookieを使った現行の方法よりもプライバシーを向上させながら、ユーザーの興味や関心を追跡する予定です。このためAmazonのようなオンラインショッピングサイトがFLoCを有効にすると、その買い物客のデータを外部者であるGoogleに渡すことになるという点が、デメリットとして考えられています。一方でFLoCが生成するユーザーID「FLoC ID」はAmazonのプラットフォームの外にあるユーザーデータを含むため、Amazon外のユーザーの行動を知ることができるという意味ではFLoCの参加にメリットがあります。

しかし、Amazonはオンラインショッピング事業だけでなく、広告事業も展開しています。2021年時点でデジタル広告はGoogleとFacebookが大きな市場シェアを持っていますが、Amazonの広告事業が急成長していることも報告されています。Amazonは今後、独自の広告識別子を開発する予定だとみられており、Googleの関与しないところでデマンドサイドプラットフォーム(DSP)のツールを強化しようとしています。FLoCをブロックするという選択は、直接的な利益に加え、競争上の決定でもあるわけです。

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AmazonがFLoCをブロックしたことは、Googleのデータ収集に大きな制限を課すことになると専門家は述べています。