Googleドキュメントのレンダリング方式が変更へ、どんな影響があるのか?
Googleが、これまでHTMLベースのレンダリングだったGoogleドキュメントを、HTML5のCanvas要素によるレンダリングに変更すると2021年5月11日付けで発表しました。これにより、一部のChrome拡張機能に影響が出る可能性があるとのことです。
Google Workspace Updates: Google Docs will now use canvas based rendering: this may impact some Chrome extensions
https://workspaceupdates.googleblog.com/2021/05/Google-Docs-Canvas-Based-Rendering-Update.html
Googleは、HTMLベースからCanvasベースへの移行が「パフォーマンスの向上」と「異なるプラットフォームでもGoogleドキュメントの見え方を一貫させること」を理由としたものだと説明しています。変更によりGoogleドキュメントそのものに影響が生じることはありませんが、HTMLレンダリングを前提としたサードパーティー製Chrome拡張機能は、意図した通りに動かなくなる可能性があります。
このため、Chrome拡張機能を開発する企業や開発者は、Canvasベースのレンダリングを使用する以下のGoogleドキュメントのサンプルを用いて、拡張機能の動作確認を行うことが推奨されています。
Sample
https://docs.google.com/document/d/1N1XaAI4ZlCUHNWJBXJUBFjxSTlsD5XctCz6LB3Calcg/preview
またGoogleは今回の仕様変更以降、Google Workspaceアドオンを利用してGoogleドキュメント用のツールを開発することを推奨しています。そして、Google Workspaceアドオンへの移行ができない企業は以下のフォームからGoogleに連絡するように呼びかけました。
Google Docs Chrome Extension Migration to Workspace Add-ons
https://docs.google.com/forms/d/e/1FAIpQLScFxMgvXlq2KMsp0UIM66pvThTF1hpojiXQTqyq9txW79OWag/viewform
なお、Hacker NewsにはGoogleドキュメントの初期開発者の1人という人物が書き込みを行っています。この人物によると、「ワードプロセッサはレイアウト・レンダリング・差分更新に特殊な要件があります」「最新のブラウザエンジンはエンジニアリングの偉業ですが、ブラウザエンジンが提供する機能群はワードプロセッサのWYSIWYGの要件と厳密には合致しません。そして提供される機能群と少しでも要件が異なると、すぐにパフォーマンスに影響が出て、開発者はアプリケーションの生産性と安定性、互換性の改善を試みる地獄に陥ります。これはCISCとRISCの関係に似ていて、ブラウザは素晴らしいCISCなエンジンですが、ユースケースが設計者の命令セットの想定に合致しない場合は、CanvasやWASMのような低レベルのものを使用することを推奨します」とのこと。なお、WASMについて言及されていますが、今回のアップデートでWASMが利用されているのかについて、Googleは明らかにしていません。
Google Docs will now use canvas based rendering | Hacker News
https://news.ycombinator.com/item?id=27129858
・関連記事
無料でGoogleドキュメントからブログ記事を作成できる「You Don’t Need WordPress」レビュー - GIGAZINE
アドレス欄に「doc.new」と入力するだけでドキュメントが新規作成できるGoogleのショートカットにSpotifyやGitHubも追加 - GIGAZINE
Googleドキュメント&スプレッドシートが教育現場でより使いやすく進化した新機能まとめ - GIGAZINE
Googleドライブがダウンして「仕事ができない」とパニックになる人が続出 - GIGAZINE
・関連コンテンツ