Samsung・Micron・SK Hynixが「DRAMの価格操作を行った」として集団訴訟を起こされる
DRAMの世界市場シェアの9割を占めるSamsung・SK Hynix・Micronの3社が「DRAMの価格操作を行っている」として、アメリカの法律事務所であるハーゲンス・バーマンが2021年5月3日付けで3社を提訴しました。原告集団は「DRAMを使う電子機器の価格が人為的に高騰しており、独占禁止法に違反している」と主張しています。
Lawsuit filed against Samsung, SK in US
https://www.koreatimes.co.kr/www/tech/2021/05/133_308452.html
Samsung, Micron, SK Hynix sued again over alleged DRAM price fixing | AppleInsider
https://appleinsider.com/articles/21/05/09/memory-producers-sued-over-alleged-dram-price-fixing
提訴されたのはSamsung本社とチップ事業部門、韓国のSK Hynix本社とアメリカ支社、Micronの関連企業2社です。原告はDRAMとノートPCを購入した個人14人で、2016年から2017年にかけてスマートフォンやPCを購入したアメリカの消費者を代表して提訴しました。
原告集団を代表するハーゲンス・バーマンの弁護士は、「DRAMの価格は一定期間中に130%以上も上昇し、Samsung・SK Hynix・Micronの利益が2倍以上になった」と述べ、3社による談合は自由競争を阻害していると主張しました。
市場調査企業のTrendForceによれば、2020年第3四半期(7月~9月)時点でのDRAM市場のシェアはSamsungが41.3%、SK Hynixが28.2%、Micronが25.0%で、3社だけで約94.5%のシェアを占めています。また、同じ韓国企業であるSamsungとSK Hynixは2013年に半導体についての特許を共有するクロスライセンス契約を結んでおり、DRAM市場を大きくけん引するSamsung・SK Hynix・Micronの牙城は他メーカーには崩せないほど盤石なものとなっています。
そんなSamsung・SK Hynix・Micronをハーゲンス・バーマンが訴えたのは今回が初めてではなく、近年では2018年4月と2019年10月にも3社を相手に同様の集団訴訟を起こしています。そのうち、2018年の訴訟について、裁判所は2020年12月に請求を却下しました。ただし、ハーゲンス・バーマンは2006年に起こした訴訟で、3億4500万ドル(約380億円)の和解金を勝ち取ったことをアピールしています。
韓国の英字紙であるKorea Timesは、「DRAMの価格設定は需要と供給の変化に同期しています」「Samsung・SK Hynix・Micronの3社がDRAMの価格を人為的に高騰させたとは言い難いでしょう。DRAMの価格は過去2年間で下落の傾向を示しています」という業界関係者の証言を報じており、ハーゲンス・バーマンの主張に懐疑的な姿勢をみせています。
なお、Korea Timesは今回の訴訟についてSamsungとSK Hynixにコメントを求めましたが、両社は回答を拒否しました。
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